[II-P07-5-04] 川崎病患児の家族が抱く様々な不安に対する支援の実際
キーワード:川崎病, 退院パンフレット, 家族支援
【背景】川崎病患児の家族は,川崎病という聞き慣れない疾患に対する心理的ストレスが大きく,発症から退院後も再発や心病変などの後遺症に対する不安を持ち続けている.そのため医療従事者は川崎病について十分説明し不安緩和に努める必要がある.【目的】川崎病患児の家族が抱く不安に対して,どのような声かけや働きかけを行うことが不安軽減につながるか,両親の心理変化から支援の有効性を考察する.【方法】事例研究.対象:川崎病 幼児期女児の両親1.半構造化面接において「入院初期」「回復期」「退院時」に川崎病に対する不安について質問する.2.家族の抱く不安に対して情報提供を行い,不安の変化をプロセスレコードにまとめ分析する.【結果・考察】川崎病の入院初期には,疾患に対する知識不足や高熱が続くことから,症状や今後の経過に対し家族は強い不安を抱いていた.両親の不安は子どもの情緒面にも影響するため,思いを傾聴し病状を説明することが必要であった.回復期には,両親から後遺症や内服の副作用,予防接種の時期などについての質問があった.退院後の生活をイメージして自宅での生活について話し合い,両親の理解度を確認しながら個別性のある生活指導が必要であった.退院時には児を見守る両親以外の家族にも川崎病罹患後の生活の注意点を理解してもらうため,パンフレットを作成した.パンフレットの作成は家族の理解を高めるとともに繰り返し見返すことができ有効であったと考える.【結論】川崎病患児の家族が抱く不安に対して以下の3点が明らかになった.1.入院初期には,病状に対する家族の不安が大きく,思いを傾聴し情報提供を行う必要がある.2.回復期には,両親の理解度に応じた説明や退院後の生活をイメージできるよう個別性のある生活指導が必要である.3.川崎病のパンフレットは,児を見守る両親とそれ以外の家族への生活指導に対し有効である.