第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

家族支援・在宅支援

ポスター発表(II-P07-5)
家族支援・在宅支援

2023年7月7日(金) 14:50 〜 15:50 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:水野 芳子(東京情報大学 看護学部)

[II-P07-5-06] 「きょうだい」を尊重した家族支援

疋田 南美1, 伊藤 知美1, 佐藤 芽依1, 小野 晋2, 上田 秀明2 (1.神奈川県立こども医療センター ハイケア・救急病棟2 看護科, 2.神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

キーワード:家族支援, きょうだい支援, 先天性心疾患

【背景】きょうだい支援は家族支援の課題の一つになっている。急変をきっかけに長期入院を余儀なくされた患児の退院時に起きたきょうだいの葛藤と、それに対して行ったきょうだい支援について報告する。【症例報告】5歳、男児、無脾症の単心室フォンタン手術待機症例。出生後長期入院を要し8か月で初回退院、1歳5か月で肺動脈内隔壁形成術を行った後は心不全症状も改善し、発育、発達が得られ、自宅で過ごす時間が主となっていた。3歳時にてんかんを発症したが、コントロールは良好であった。4歳時に発熱を契機に痙攣重責となり救急搬送された。同時に発作性上室性頻拍も起こし、心肺蘇生を要する状況に陥った。一命はとりとめたものの、低酸素性虚血性脳症に至った。児には小学2年生と5年生の兄がいた。兄達は積極的に児の面倒をみるような良好な兄弟関係だった。今回の入院中も児の退院を心待ちにしていた。入院が3か月目に入り、退院が近づいたころにオンライン面会による児の誕生日祝いを行った。元気だったころの児をイメージしていた兄達は、児の変化にショックを受け拒否反応を示した。両親から兄達に児の状況が十分に説明できておらず、兄達にとっては救急搬送された日の状態で情報が止まっており、ショックが大きかったと考えられた。循環器内科主治医、看護師、臨床心理士、血液内科医師でカンファレンスを行い、兄達に対する説明の場を設けることとした。説明は2回に分け、医療スタッフの自己紹介を兼ねた交流の場と兄達からの質問に答える場を設けた。それをきっかけに兄達は児の退院に対して前向きになり、無事退院を迎えることが出来た。【考察】医療者から兄弟に対する説明は、兄弟の患児に対する受け入れを促す一助となる。医療者が介入することにより、兄弟を含めた家族が患児の現状に向き合うことが出来、患児を受け入れる準備を支援することが出来たと考える。