[II-P07-5-09] Family Support Teamに相談のあった先天性心疾患患者の概要
キーワード:家族支援, 多職種連携, 先天性心疾患
【背景】当院では、2018年より虐待防止対策委員会の下、小児にかかわる多職種で家族サポートチーム(Family Support Team:以下FASTとする)を設置し、虐待対応をはじめとした子どもの権利擁護、家族支援を行っている。FASTは治療に直接かかわる主治医や受け持ち看護師とは役割機能が異なるため、医療者と家族との対立回避や退院後の継続した支援につなげられるといった効果が出ている。今回、FASTに相談された先天性心疾患患者のケースを抽出したので報告する。【方法】対象は2018年4月~2022年12月の間にFASTに相談があった先天性心疾患患者とし、その概要を後方視的にまとめた。日本小児循環器学会の倫理指針に基づき、個人情報はすべて匿名化した。【結果】調査期間中にFASTに相談のあった299ケース中13ケース(4.3%)、12名(1名のみ2回相談)が先天性心疾患患者であり、6名が複雑心疾患であった。相談時の患者の年齢は、新生児~10歳であり、1歳未満の相談が6名であった。外部からの相談は3件であった。相談内容は、養育支援相談5名、外傷4名、ドロップアウト(経過確認含む)3名であり、8名が何らかの介入を要した。また、相談のあった12名中、8名が発達支援を受けていたが、それ以外の3名は乳児期であり、1名は支援を受けていないが軽度の知的障害の指摘があった。【考察】一般的な虐待相談件数報告と同様に、先天性心疾患患者においても、1歳までの低年齢児の相談が最多であった。先天性心疾患の場合、低年齢時に手術を要する症例もあり、より注意が必要と考える。また、発達障害のある子どもは虐待のリスクが高く、今回の調査からも発達支援を行っている症例は継続的な養育支援が必要であることが示唆された。