[II-P08-2-02] 体肺動脈側副血管による気管出血に対し塞栓術を行なった小児の2症例
Keywords:気管支動脈塞栓術, 体肺動脈側副血管, カテーテル治療
【背景】小児の喀血は稀であり対応に苦慮することが多い。今回、気管出血を生じ、塞栓術を行った小児2例を経験したので報告する。【症例1】CANTU症候群、8歳女児。出生直後からの呼吸障害で挿管し抜管困難にて生後4Mで気管切開施行。生後10ヶ月時(2回)、7歳時(2回)、気管出血を繰り返し、塞栓術を繰り返し行っている。気管支動脈蔓状血管腫があり、気管支動脈末梢の拡張蛇行、細小血管増生が見られ、MAPCA様に分布する異常血管を認めた。基礎疾患と気管支動脈異常の関連性は不明であるが、再出血に注意し慎重に経過観察を行っている。【症例2】KCNT1遺伝子変異、遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん(EIMFS)、2歳男児。日齢2より痙攣を認め、1歳半で感染契機の酸素化不良あり、挿管管理中に気管内から多量の出血を認めた。鎖骨下動脈・気管支動脈・横隔膜動脈から多数のAPCAを認め、肺うっ血による出血と判断し、太い異常血管に対してコイル塞栓を施行。その後長期挿管の影響もあり、抜管困難となり気管切開施行。塞栓困難な側副血行路は残存しており、また基礎疾患も考慮すると再出血のリスクは高く、今後カテーテルで定期的に評価を行なう方針としている。【考察】CANTU症候群と気管支動脈蔓状血管腫との関連は不明である。塞栓を行なっても再開通のリスクや、新たな側副路新生リスクもあり、定期フォローが必要である。KCNT1遺伝子はEIMFSの原因遺伝子と同定されており、APCAの合併が報告されている。KCNT1遺伝子はAPCAの形成を促進する可能性が高く、またてんかんの頻繁な発作と呼吸困難は低酸素症と心血管負荷を引き起こしAPCAの成長を促進する可能性がある。発作のコントロールと適切な呼吸管理、新たなAPCA形成の有無を慎重にフォローする必要がある。【結論】喀血に対する塞栓術は、有効な内科的治療であるが、再喀血率は高く、症例により基礎疾患を考慮し喀血機序をふまえて定期観察することが必要である。