[II-P08-3-01] 成人期肝線維化進行とFontan術後早期の血行動態指標との関連
キーワード:フォンタン術後, FALD, 成人先天性心疾患
【背景】Fontan関連肝疾患(FALD)はFontan術後の遠隔期合併症の一つで,肝臓うっ血と肝血流低下,慢性的低酸素状態が関与しているとされる.Fibrosis-4 score (Fib-4)は肝線維化と相関するマーカーで,Fontan術後患者において,Fib-4高値が肝癌の発生に関連することが報告されている.しかしFontan術後早期の心臓カテーテル検査指標が成人期の肝線維化に与える影響を示した報告は少ない.【目的】Fontan術後成人期のFib-4高値と,Fontan術後早期の血行動態との関連を検討する.【対象と方法】対象は当院でFontan手術を施行し,現在18歳以上となった成人例のうち,Fontan術後2年以内に心臓カテーテル検査を行なっていた例.Fontan手術時年齢が10歳以上の例は除外した.成人期のFib-4 を算出し,H群(Fib-4≧0.89)とL群(Fib-4<0.89)の2群に分け,Fontan術後早期の血行動態指標を比較した.Systemic oxygen transport (SOT)は,心拍出量(CI)*1.34*動脈血酸素飽和度(SatO2)*0.1 (ml・O2 /min/m2)として算出し,比較した.【結果】対象は41例,うち男性は22例.Fib-4評価時年齢の中央値は20.4(18.0-28.5)歳,右室型体心室21例,Heterotaxy 3例.Fontan手術時年齢は2.2(1.1-8.6)歳,術後心臓カテーテル検査時年齢は,3.19(1.57-9.56)歳.H群(n=18) vs. L群(n=23)において,Fib-4は1.15(0.89-11.83)vs. 0.58(0.30-0.88),2群間で,Fib-4評価時年齢,Fontan手術時年齢,術後カテーテル検査時年齢に有意差は認めなかった.心臓カテーテル検査所見は,H群vs. L群で,CI 2.9(2.2-4.6) vs. 3.3 (2.3-5.1) L/min/m2(p=0.04)とH群で有意に低く,perfusion pressureは63(47-73) vs. 66(49-88) mmHg(p=0.08),SOTは510.2(382.8-815.1) vs. 547.2 (426.7-824.0) ml・O2 /min/m2 (p=0.07)と有意差は認めないものの,H群で低値の傾向であった.【考察】Fontan術後早期からCIや灌流圧が低値であった例では,成人期にFib-4 scoreが高く,線維化進行との関連が示唆された.