[II-P08-3-03] 房室弁逆流に対する外科的介入を要したFontan循環症例の特徴
キーワード:Fontan循環, 房室弁逆流, 外科的介入
【背景】房室弁逆流はFontan循環の予後リスク因子であり、しばしば外科的介入を要する。【目的】Fontan循環患者で房室弁逆流に対して外科的介入を受けた患者の特徴を明らかにすること。【対象と方法】2017~2022年に当院でFontan(F)手術を施行した236例(男131、女105)を対象とした。房室弁外科介入ありをS群、介入なしをN群とし、房室弁形態などの臨床所見を後方視的に検討した。【結果】S群は60例(25%)、N群176例(75%)で、F手術時年齢(中央値S群3歳10か月、N群3歳3か月)やF術後中心静脈圧(S群9.5±0.4mmHg、N群8.7±0.2mmHg)などに有意差はなかった。房室弁形態は共通房室弁50例(S群28、N群22)、僧帽弁73例(S群6、N群67)、三尖弁62例(S群24、N群38)、二房室弁51例(S群2、N群49)であり、S群に共通房室弁と三尖弁が多かった。主心室形態はS群で右室が多く(S群72%、N群43%、p<0.01)、右側・左側相同も多かった(S群33%、N群13%、p<0.01。S群で計77件の弁形成術、4件の弁置換術が行われた。房室弁介入時期は、Glenn術前15例、Glenn術時41例、Fontan術時24例、Fontan術後1例であった。術前のMRIによる平均逆流率(14例)は27%であった。再介入を21例(35%)に要し、内訳は共通房室弁15例(54%)、三尖弁5例(21%)が多く含まれていた。再介入を要した症例では非再介入例に比して初回介入時期が早かった(0歳9か月vs.1歳9か月、p=0.046)。【考察】共通房室弁、三尖弁形態では外科的介入を要する症例が多く、早期からみられる逆流では再介入のリスクが高い。これらの症例では心不全治療や段階的手術のタイミングをより考慮する必要がある。