The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスター発表

肺循環・肺高血圧

ポスター発表(II-P08-4)
肺循環・肺高血圧3

Fri. Jul 7, 2023 3:50 PM - 4:40 PM ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:土井 拓(天理よろづ相談所病院 小児科 / 先天性心疾患センター)

[II-P08-4-02] 動脈管ステント留置後に健側肺の高度肺高血圧を合併した孤立性一側肺動脈近位部欠損の一例

坪井 香緒里1, 寶田 真也1, 岡部 真子1, 仲岡 英幸1, 伊吹 圭二郎1, 小澤 綾佳1, 廣野 恵一1, 芳村 直樹2 (1.富山大学附属病院 小児科, 2.富山大学附属病院 第一外科)

Keywords:孤立性一側肺動脈欠損, 動脈管ステント, 肺高血圧

【はじめに】他の心奇形を合併しない孤立性一側肺動脈近位部欠損は稀な疾患であり、治療の時期や方針に一定の見解はない。動脈管ステントやシャント手術により二期的修復を行うことが多く報告されているが、患側肺には酸素飽和度の高い血液が流れ、健側肺には体血流量全ての血液が流れるという特異な左右不均衡な循環となる。【症例】在胎40週2日、3074gで出生。生後、酸素飽和度の低下に気づかれ、先天性心疾患が疑われたため当院へ搬送となった。心臓超音波検査で、右肺動脈は主肺動脈と連続しておらず、右腕頭動脈から起始した動脈管により血流が維持されていることから、孤立性一側肺動脈近位部欠損と診断した。動脈管維持のため、lipo PGE1の持続静注を開始し、日齢2に、動脈管ステント留置術(SYNERGY 3.0 x 16mm)を施行した。術後、高肺血流により頻脈や多呼吸を認め、利尿剤、βブロッカー、Nasal high flow cannulaによる呼吸補助を要したが、症状が改善した日齢41に退院となった。生後4ヶ月に心臓カテーテル検査を行ったところ、左肺動脈圧 90/57(68)mmHg, Rp=27.2units・m2と高度の肺高血圧を認めた。動脈管ステントは内膜増殖による狭窄を認め、右肺動脈圧は12/11(10)mmHgであった。右肺動脈の成長は良好であり、生後4ヶ月に8mm ePTFE graftによる右肺動脈形成術を施行し、肺血管拡張剤による肺高血圧治療を継続中である。【まとめ】本疾患では、出生直後から健側肺動脈は全体血流量を受け止める必要があり、肺高血圧の要因となりうる。さらに、今回施行した動脈管ステントによる右肺動脈血流過多は、全体血流量を増やし、健側肺高血圧を助長した可能性がある。二期的修復術を行う場合には、シャントやステントサイズの選択に注意を要すると思われた。