[II-P08-4-03] JACPHR registryにおける小さな欠損孔を伴う肺動脈性高血圧症患者の解析
Keywords:JACPHR, co-incidental CHD, 肺動脈性高血圧
背景小さな欠損孔の先天性心疾患を伴う肺動脈性高血圧症患者(co-incidental CHD-PAH)では欠損孔の閉鎖は行われず、特発性肺動脈性肺高血圧に準じた治療方針が選択されるが、その反応性については十分報告されていない。目的co-incidental CHD-PAH症例の肺循環動態および肺血管拡張薬に対する反応性について検討を行った。方法CHDを伴う肺高血圧症例の多施設症例登録研究(JACPHR registry)に登録されたco-incidental CHD-PAH症例における診断時及び登録時のデータ解析を行った。結果全国31施設から登録された全115例のうち17例(15%)がco-incidental CHD症例であった。肺高血圧診断時の年齢の中央値が9歳(8ヶ月-35歳)、女児が12例。17例中5例(29%)がpost-tricuspid shut(VSD3例、PDA1例、完全型AVSD1例)、残り12例がpre-tricuspid shunt(PFOまたはASD10例、PAPVR1例、不完全型AVSD1例)であり、9例(53%)が修復術後であった。また、5例(29%)にDown症候群、1例に多脾症候群を認め、8例(47%)に閉塞性呼吸器疾患の合併があり酸素飽和度が92%以下の症例が4例(23.5%)あった。肺高血圧診断時のカテーテル所見では、平均肺動脈圧の中央値は44mmHg(23-112mmHg)、肺血管抵抗係数の中央値は10.5単位(2.3-35.5単位)であった。17例中15例(88%)で肺血管拡張薬(3剤併用は9例、2剤または単剤が3例)が使用されていた。治療後(中央値5年)、13例でカテーテルの再評価が行われた。平均肺動脈圧の中央値は32mmHg(16-95mmHg)、肺血管抵抗係数の中央値は7.6単位(2.7-57.7単位)へ改善していた。13例中、平均肺動脈圧が20%以上改善したものが7例(54%)で、20%以上増悪したものは2例(15%)のみであった。結語co-incidental CHD症例における肺血管拡張治療は肺循環動態を改善させており、今後はさらに症例を集め長期予後についても検討していく予定である。