第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

会長要望シンポジウム

会長要望シンポジウム3(II-PSY3)
小児の心臓病治療における End-of-life care

2023年7月7日(金) 10:50 〜 11:50 第6会場 (G301)

座長:鮎沢 衛(神奈川工科大学健康医療科学部), 座長:立野 滋(千葉市立海浜病院小児科)

[II-PSY3-04] 終末期と診断された先天性心疾患患者の家族に対する援助

西川 由花, 久保 芽生, 金本 理紗子, 山下 知穂 (国立循環器病研究センター)

キーワード:終末期看護, 家族看護, エンドオブライフケア

【背景】 わが子が終末期に至ること、失うことは親にとって想像を絶することであるが、子どもと家族がどのように過ごし最期を迎えるかは、これからを生きていく家族にとって大きな影響を及ぼすといわれている。今回、家族性の左室緻密化障害の子どもとその家族への看護について報告する。【事例紹介】Aくん 男児 左室緻密化障害家族背景:父、母(兄:左室緻密化障害、生後4か月時に死亡)【看護の実際】 心不全が徐々に悪化していく中、医師は必要時、家族に病状説明を行い、看護師は臨床心理士と共に家族が病状に関する不安や辛さを表出できるように精神的援助を行い、医療者間で共有した。また、「この子の生きた証を残したい」と月誕生日を祝い、家族写真撮影や沐浴や抱っこを行う調整をした。最期を迎えるまで「できることはしてあげたい」という家族の希望に寄り添い、面会時に保清や母乳塗布などを行った。「前(兄)の経験で分かることもある」と予後への理解や「この子は精一杯頑張ってくれている」と児の頑張りを認め、労う発言が聞かれた。【考察】 子どものエンド・オブ・ライフ指針からも「子どもの命の尊さを受け止め、子どもと家族にとって最善となる日々を過ごすことが大切である」と述べられており、限られた環境の中で家族の希望するケアを実施することで、子どもに対する親の役割を果たせたことが満足感につながったと考えられる。また、多職種で家族を支える環境を整え、情報共有することで、家族が医療者と共に最後の過ごし方を考え、希望を叶えることができたと考える。【結論】 医療者間で家族が希望するケアの希望を叶えることで、子どもと家族にとって最善となる日々を過ごすことが可能となり、先天性心疾患患者の乳幼児期におけるエンド・オブ・ライフケアに繋がることが示唆された。