[II-PWS2-03] 先天性心疾患手術を受ける幼児のレディネス発達を促進する学習材の有効性の評価
キーワード:先天性心疾患手術, レディネス, 学習材
【背景】成人先天性心疾患患者の増加に伴い、彼らの生涯に及ぶ課題が指摘されている。先天性心疾患では、生涯の疾患管理を要する一方、幼少期の自然な活動が促されにくく患児の主体性や療養能力を高めにくい。研究者らは、先行研究において、幼少期の患児が治療を乗り越えながらレディネスを高めるための学習材を考案した。レディネスとは、療養能力の獲得に向けた準備性であり、理解/意欲/発達状況の3領域より構成する。【目的】先天性心疾患手術を受ける幼児のレディネス発達を促進する学習材の有効性を評価する。【方法】先天性心疾患手術を受ける幼児と親9組に学習材を活用してもらい、活用前後に親を対象とする質問紙調査を実施した(1群事前事後テストデザイン)。自由記述式の質問紙を用いて、疾患・治療に対する患児の思いと反応を収集し、分析では、質的研究支援ソフトNVivoを用いた前後比較を行なった。本研究は所属機関及び研究協力施設の倫理審査委員会の承認を得た。【結果】対象は、質問紙の協力が得られた7組の親子である。回答に表れた頻出語は、学習材活用前の「入院(2.8%)」「手術(2.5%)」「検査(1.8%)」より、活用後の「頑張る(2.8%)」「自分(2.6%)」「手術(2.4%)」へと変化した。また、患児の思いと反応を構成するカテゴリーにおいても、学習材の活用前後で増加がみられ、活用前では【怖いこと、痛いこと、寂しいことは嫌だ】【病気のある生活が日常で当たり前である】等の9つが、活用後には【治療やケアに自分から取り組み前向きである】が加わった10カテゴリーが導出された。【考察】患児の思いと反応の前後比較では、「頑張る」や【自分から取り組み前向きである】等の意欲領域の向上がみられ、1群テストとはいえ、本学習材が患児のレディネスを高める一助となりうる可能性が示される。学習材の読み聞かせを行なった親の評価を合わせ、親子への支援に繋げることが今後の課題である。