The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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日本肝臓学会・日本成人先天性心疾患学会・日本小児循環器学会 3学会ジョイントセッション

日本肝臓学会・日本成人先天性心疾患学会・日本小児循環器学会 3学会ジョイントセッション(III-JS)
FALD Up-to-date

Sat. Jul 8, 2023 9:30 AM - 11:00 AM 第1会場 (G3)

座長:宗内 淳(JCHO九州病院小児科), 座長:椎名 由美(聖路加国際病院心血管センター循環器内科)

[III-JS-04] Fontan術後関連肝障害(FALD)および肝細胞癌のスクリーニングおよび管理に関して

徳重 克年 (東京女子医科大学 消化器内科)

Keywords:FALD, 肝細胞癌, 薬物療法

近年Fontan術を受けた先天性心疾患患者において、若年者にもかかわらず肝硬変・肝細胞癌(HCC)が発生すること予想以上に多く、また社会的にも問題となっている。我々はすでに、当院では1972年から2019年までに約650例のFontan術を施行し、うち154人がFALDまたは肝腫瘍のため当科でフォローアップしている。そのうち15例(9.7%)がHCCを発症し、予後不良な経過をたどっている。今回は、肝硬変および肝細胞癌の危険因子を分析し、FALD患者における生活習慣、薬物療法、フォローアップシステムについて文献および自験例から検討した。線維化の重症度は、フォンタン術の期間や中心静脈圧等と相関していた。ヒアルロン酸、γ-GTP、血小板数、総ビリルビン、MELD-XIが、モニタリングマーカーとして有用であった。生活指導では、CVPを上昇させるような運動負荷は避け、下肢の筋肉を鍛え、静脈ポンプを強化することが推奨される。また禁酒、腸内環境改善も重要である。薬物療法としては、ウルソデオキシコール酸、エンドセリン受容体拮抗薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)またはアンジオテンシンII変換酵素阻害薬(ACE)、プレバイオティクスなどの可能性を文献的に考察した。FALD-HCCの診断は、FNHとの鑑別やワーファリン使用に伴いPIVKA-2が腫瘍マーカーとして使用できないなど問題点も多い。治療も心機能面より制限が多いが、陽子線治療や定位放射線治療は一定の効果が得られている。いずれにしてもFALD肝硬変やHCCの死亡率は深刻である。FALD-肝硬変・HCCに対するスクリーニング、新しい診断法、根治的治療法の開発は急務である。FALD患者の管理・監視に関するコンセンサスはないが、今回参加者全員で、生活習慣、薬物療法、FALD肝硬変/HCCのスクリーニング法を考察したい。