[III-OR26-05] 潜在性WPW症候群は左室・左房非同期を来し左室・左房機能低下を来すのか?
Keywords:潜在性WPW症候群, 左室非同期, 左房左室機能
【背景】Wolff-Parkinson-White (WPW) 症候群は副伝導路による左室左房間の非同期の影響により左室及び左房機能低下をもたらすと考えられている。しかしながら、副伝導路に順行性の房室伝導がない潜在性WPW症候群の心機能についての検討を行った報告はない。【目的】小児から若年成人の潜在性WPW症候群における左室及び左房機能解析を行い、WPW症候群における心機能低下の機序の関しての検討を行うこと。【方法】潜在性WPW症候群(cW群) 6例(13.7±2.7歳、type A: type B: type C = 3 :2 :1) 、顕性WPW症候群(mW群)29例(12.5±4.4歳、type A: type B: type C = 13 :15 :1)と年齢を近似した正常対象群(N群)41例を対象とした。Speckle tracking法を用いて左室長軸方向ストレイン(LV-GLS) 、及び左室短軸像の区分円周方向ストレインによる非同期指標、左房ストレイン(Reservoir strain; LASr) 、左房長軸像の区分長軸方向ストレインによる非同期指標の評価を行った。【結果】cW群、mW群のLV-GLS、LASrはN群と比較し有意な低下を認め、cW群とmW群間では有意差を認めなかった。LVEF、e’、E/e’は群間で有意差を認めなかった。左室・左房非同期指標はcW群、mW群ともにN群より有意に大きく、cW群とmW群で有意差を認めなかった。cW群とN群においてLV-GLSは左室非同期指標と中程度の相関を認め、LASrはLV-GLS及び左房非同期指標と中程度の、左室非同期指標と弱い相関を認めた。【結論】潜在性WPW症候群であっても左室・左房非同期を来し左室・左房機能の低下を認め、左室・左房ストレインは心機能低下の早期指標となりうる。