[III-OR27-06] チアノーゼ性二心室疾患に対する初回姑息術としてのRV-PA conduitとcentral shuntの比較検討
Keywords:RV-PA, PA/VSD, SP shunt
目的 PA/VSDやTOFなど、二心室修復に向かうチアノーゼ性心疾患に対する初回姑息術としてのRV-PA conduitをcentral shunt(CS)と比較し、姑息術後の術後管理や心内修復術(ICR)前のPAの発育、上行大動脈径の変化に関して検討を行った。方法 2020年1月から2023年1月までに初回姑息術を行った二心室疾患のうち、2回目手術がICRとなった17例(RV-PA 5例, CS 12例)を対象として後方視的に検討を行った。MAPCA合併例、2回以上の姑息術実施例、単心室治療例は除外した。初回姑息術時の年齢の平均値は47±17(日), 体重の平均値は3.3±0.8(kg). 結果 初回姑息術後の経過で在院死亡はなく、2群間の術後人工呼吸器期間、カテコラミン使用期間に差を認めなかった。術後7日目のPaO2はRV-PA 56±4, CS 53±8 (mmHg, p=0.344), 術後30日までのBNP値はRV-PA 109±105, CS 216±271 (ng/ml, p=0.472)とどちらも有意差を認めなかった.ICR前のカテーテルデータでは、PA indexは RV-PA 250±42, CS 367±175(p=0.201)と有意差は認めなかったがCSの方がPA indexが大きい傾向がみられた。RpIはRV-PA 1.9±1.3, CS 1.2±0.8 (p=0.239), 平均PA圧はRV-PA 11±3, CS 12±5 (mmHg, p=0.650)と有意差を認めなかったが、Qp/QsはRV-PA 0.69±0.15, CS 1.11±0.39 (p=0.043)と有意差を認めた。 姑息術前とICR前の造影CTを比較し、CS吻合部より近位上行大動脈と吻合部より遠位上行大動脈の径を両群で比較したところ、CS群の近位上行大動脈径のみ拡大傾向を認めた(姑息術前Z score 1.2±1.4→ICR前 2.6±1.2, p=0.007). ARに関しては、どちらの群でもmild以上への増悪症例を認めなかった。結論 二心室修復に向かうチアノーゼ性心疾患に対する初回姑息術としてのRV-PA手術は、術後経過に大きな差はかったが、CS群の方がQp/Qsが大きく、PA indexが大きい傾向があった。一方で、CS群では吻合部より近位上行大動脈径の拡大傾向を認めた。