[III-OR29-01] 新生児期にある先天性心疾患術後患者への無気肺に対するRTXを用いた呼吸理学療法の有効性
Keywords:先天性心疾患, 呼吸理学療法, RTX
【背景】 先天性心疾患術後(以下、CHD術後)では肺血流の急激な増加やそれに伴う分泌物増加による気道閉塞、心室拡大や胸水による肺の拡張性低下に伴い無気肺が生じやすい。当院では無気肺の予防・改善のため呼吸理学療法を実施している。CHD術後の乳幼児に対して、陽・陰圧体外式人工呼吸器RTXレスピレータの排痰モード(以下、RTX)の使用が無気肺の改善に有効とする報告はあるが、新生児からRTXを使用した症例報告はなかった。【目的】 CHD術後に無気肺を発症し改善に難渋した新生児に対してRTXを使用したところ無気肺の改善に著効したため、得られた結果からその有効性を明らかにする。【方法】 CHD術後無気肺を発症した新生児1例を対象とした。体位ドレナージ、スクイージング、気管内吸引、ポジショニング(腹臥位管理)などの呼吸理学療法に加えRTX1回20分を1日4回併用した。RTX実施にあたりCHD術後では血行動態が変動しやすいことや胸郭動揺の合併症があるため、モニタリングを行い循環動態の変化に注意した。呼吸理学療法施行前後の胸部レントゲン像、動脈血ガス分析値、呼吸様式などの変化を経過記録から情報収集し後方視的に有効性を検討した。【結果】無気肺発症21日目よりRTXの併用を開始し、介入後19日目に無気肺の消失を認めた。動脈血ガス分析による酸素化の指標や胸部レントゲン像に改善を認めた。RTX使用による合併症は認めなかった。【考察】 RTX使用による合併症を認めなかったことから、モニタリングの徹底により安全かつ有効的に新生児にも実施できる。ただし類似症例が無く十分な比較ができていないため、今後も新生児に対するRTXの使用を検討し症例を重ねていく必要がある。【結論】 CHD術後無気肺を発症し改善に難渋していた新生児に対してRTXを用いることで無気肺が改善された。今後更に症例を重ね有効性を評価していく。