[III-OR29-02] フォンタン術後患者の循環血液量の観察〜運動前後における変化の実際〜
Keywords:リハビリテーション, フォンタン術後, 循環血液量
【緒言】フォンタン術後患者の術後心肺機能には下肢筋の関与が報告されている。今回、フォンタン術後早期の幼児に対しリハビリテーション(リハビリ)を実施し、実施前後の推定一回拍出量(SV)、心拍出量(CO)を観察したので報告する。【対象・方法】対象はdextrocardia、DORV、unbalanced AVSD、vPS、bil.SVC、TAPVRに対しフォンタン術を実施した2歳2ヶ月女児。心拍出量モニター エスクロンミニ(平和物産(株)製)を使用し、リハビリ前安静時(Pre)、他動下肢運動時(Pas)、立位・歩行実施後(Post)の3ポイントで、心拍数(HR)、SV、COを計測した(術後4,13,14日目の3回)。データの計測は臥位で約2分間実施、各項目の中央値を算出し、Pas・Post時における安静時からの変化率を検討した。【結果】術後4日目の計測では、PreのSVに対し、Pas/Postともに増加し、変化率はそれぞれ101.8/110.5%であった。COは97.4/112.3%とPostのみ増加した。術後13日目の計測ではPas/PostのSV変化率97.2/112.1%、CO変化率99.3/109.2%とSV,COともにPostのみ増加を認めた。14日目ではSV,CO共にPasで上昇し(114.9/116.3%)、Postで低下(92.5/94.1%)を認めた。HRは3回共に96−100%とPas/Postで著変なかった。運動後は軽度の呼吸促迫を認めていた。【結語】フォンタン術後の患者のSV・COは、立位・歩行など随意筋収縮を伴う下肢・全身の運動後に増加する傾向を認め、全身運動に伴う静脈還流量と呼吸数増加が寄与した可能性が示唆された。一方、相反するデータもあり、今後更にデータを収集し訓練内容を振り返るツールとなるかを検討したい。