[III-OR29-03] 先天性心疾患患者に対する術後早期リハビリテーション
キーワード:先天性心疾患, 手術後早期リハビリテーション, PICU
【背景】当センターは、2018年から先天性心疾患(CHD)患者に対し手術後早期リハビリテーション(術後早期リハ)を実施している。CHD患者の術後早期リハは、初回介入の多くが無気肺等の呼吸器合併症予防を目的としたポジショニング、呼吸理学療法等の介入が多い。【目的】術後早期リハと無気肺発生の関係を検討する。【対象】2018年12月〜2022年12月、CHDに対し手術及び術後早期リハを実施した376人を対象とした。【方法】PICU滞在期間中の無気肺発症の有無で発症群/非発症群に分類し、患者背景、初回術後早期リハまでの時間、気管内挿管期間、PICU滞在期間を比較した。初回術後早期リハは、PICU入室後の初回側臥位ポジショニングと定義した。更にRACHS-1のカテゴリーを用いて手術難易度ごとの検討もした。記録不備、死亡例は除外した。【結果】対象は346人であり、発症群52人/非発症群294人、無気肺発生率は15%であった。発症群/非発症群の順に、2.0±5.3/3.8±6.4(歳)、初回術後早期リハまでの時間(時)16.6±17.8/8.8±11.5 (p<0.05)、気管内挿管期間(時)91±124/39±58.6 (p<0.05)、PICU滞在期間(日)13.7±26.9/4.3±5.1 (p<0.05)であった。RACHS-1の各カテゴリーの無気肺発症率は、1:1人/63人(1%) 2:14人/101人(13%) 3:32人/159人(20%) 4:2人/11人(18%) 6:3人/12人(25%)であった。カテゴリー3のみ初回術後早期リハまでの時間(時)17.3±18.7/11.0±14.1、気管内挿管期間(時)71.5±52.9/37.3±40.2(時)の有意な短縮を認め(p<0.05)、PICU滞在期間(日)はカテゴリー2:5.5±5.1/3.3±3.9及び3:11.4±14.4/5.3±5.7で有意な短縮を認めた(p<0.05)。【考察】非発症群は介入までの時間が短く、特にRACHS-1のカテゴリー3で有意に短縮していた。絶対的介入禁忌を除き、循環動態に留意した早期介入は無気肺等の呼吸器合併症の軽減や、PICU滞在期間短縮の一助となる可能性が考えられた。今後も術後早期リハの効果を検討する為、症例蓄積が必要と考える。