[III-OR29-04] 気管分岐異常を伴うファロー四徴症の体肺動脈シャント術後に生じた広範な無気肺に呼吸理学療法が奏功した一例
Keywords:呼吸理学療法, ファロー四徴症, 術後無気肺
【背景】先天性心疾患児の心臓手術後の呼吸理学療法は呼吸器合併症の予防または改善のために必要とされているが,実際の介入方法に関する報告は少ない。【症例】胎児診断にてファロー四徴症の指摘あり。36週5日に前期破水あり帝王切開。1636gで出生。酸素投与を行いながら体重増加を待って上行大動脈―肺動脈シャント術の方針としていた。啼泣時SpO2低下顕著にて日齢56日目手術施行。胸骨閉鎖後SpO2低下あり,閉胸による圧排が原因と考えられ、再開胸しICU入室となった。術前CT検査にて右上葉枝の分岐異常あり,帰室後の胸部レントゲン写真では右上葉に広範な無気肺形成を認めた。呼吸循環管理を進めつつ,POD3に閉胸した。POD6に抜管し,POD8一般病棟転出となった。【リハビリテーション経過】POD1より介入開始。初期評価時,人工呼吸器 Assist/Controlモード ,FIO2 0.5,PEEP 5 cmH2O,PIP 22 cmH2O,呼吸回数 28 回/分にて,P/F 比 136と酸素化低下あり。人工呼吸器管理中は,深鎮静管理にて無気肺開存および体位ドレナージ中心に介入した。介入初期より呼吸器設定および吸痰の頻度,肺胞虚脱の程度を共有し,理学所見および,終日の体位管理プランをチームで共有した。POD6には,右上葉無気肺改善得られ,P/F 比 219と酸素化も改善し,抜管した。抜管後も上気道狭窄の有無,肺胞虚脱の有無を共有し,体位管理を継続した。POD7には横抱きでの抱っこを開始し,病棟転出に向け予防的介入の共有を実施した。【まとめ】先天性心疾患児の外科術後,上葉に広範な無気肺形成のあった児への呼吸理学療法介入をチームで共有し呼吸器合併症の悪化なく呼吸器離脱が可能であった。術後急性期の呼吸理学療法介入や評価内容の共有は呼吸器合併症の軽減につながる可能性がある。今後はより客観的な指標で共有をはかる必要がある。