第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

呼吸療法/医療安全

一般口演(III-OR29)
呼吸療法/医療安全

2023年7月8日(土) 14:50 〜 15:50 第7会場 (G314+315)

座長:南 茂(国際医療福祉大学 臨床工学特別専攻科), 座長:高木 敏久(埼玉医科大学国際医療センターリハビリテーションセンター)

[III-OR29-06] EXCOR®装着患児の発達段階を考慮した送脱血管皮膚貫通部の固定方法の検討

雨宮 由季1, 高山 志乃1, 飯島 哲子1, 戸田 紘一2, 帆足 孝也4, 土屋 美代子3 (1.埼玉医科大学国際医療センター 看護部, 2.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科, 3.埼玉医科大学国際医療センター 心臓移植センター, 4.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科)

キーワード:小児用体外設置式補助人工システム, 発達段階, 皮膚貫通部

【背景】当院では小児用体外設置式補助人工心臓システム(以下EXCOR®)装着患児に対して独自で考案したEXCOR®ポンプカバー(以下ポンプカバー)を使用し、送脱血管皮膚貫通部(以下皮膚貫通部)の安定を保つ管理をしている。しかしポンプカバーのみで皮膚貫通部を安全に管理するには問題が生じた症例があった。そのため患児に応じて固定方法を工夫した。【目的】今後EXCOR®装着患児の発達段階に適した皮膚貫通部の安全な管理が行えることを目的として症例を振り返り考察する。【方法】2017年8月~2023年1月までにEXCOR®を装着した8症例の患児の固定方法を後方視的に振り返り分析する。【結果】EXCOR®装着患児8症例のうちポンプカバーに加えて固定強化を要したのは幼児前期の3症例であった。症例1は四つん這い動作ができるようになりポンプが垂れ下がることで皮膚貫通部の動揺が生じたため固定バンドを装着した。また同症例では活動量が増えたことで脱血管破損による緊急ポンプ交換を経験した。再発防止としてシーネを用いた固定方法を行った。症例2は椅子や便器に座る動作の際にポンプが物理的に浮き上がることが確認できたためシーネ固定により浮き上がりを防止した。症例3は様々な物に興味を示し手足で掴む動作が増えてきた時期にポンプを足で持ち上げる行為が確認できた。それに対して症例1と同様固定バンドをすることで回避することができた。結果、3症例とも皮膚貫通部のトラブルは認めなかった。【考察】EXCOR®装着患児はそれぞれ発達段階が異なることから皮膚貫通部への負担のかかる原因も異なることが予測された。今回行った固定強化の方法により皮膚貫通部のトラブルを認めなかったことから、発達段階に適した皮膚貫通部の安定を保つ管理ができたと考える。【結論】運動発達が著しい幼児前期の皮膚貫通部を安全に管理するには固定強化は必須であり、患児の発達段階に適した固定方法を検討していく必要がある。