[III-PPD4-04] 経食道心エコーおよび経心膜心エコーを用いた術後冠動脈病変に対するアプローチ
キーワード:冠動脈狭窄, 経食道心エコー, 経心膜心エコー
【背景】経食道心エコー(TEE)は成人の冠動脈バイパス術後や先天性心疾患の大動脈スイッチ術後の冠動脈評価に有用とされる。今回、先天性心疾患術後に冠動脈狭窄・閉塞を来し、TEE・経心膜心エコー (Trans-Pericardial Echocardiography: TPE)を用いて診断・治療ガイドを行なった3例を経験した。【症例1】日齢20の男児。左心低形成症候群の診断で日齢4に両側肺動脈絞扼術と心房中隔裂開術を施行された。日齢20に突然の心原性ショックを来し、経胸壁心エコー(TTE)で右前壁から下壁のakinesisを認めECMOを導入した。TEEでははっきりせず、TPEで右冠動脈の血流途絶を診断、緊急冠動脈造影と選択的冠動脈内血栓溶解を行った。【症例2】2歳の女児。修正大血管転位症と心室中隔欠損症の診断で2歳11か月にダブルスイッチ手術を施行された。術翌日のTTEで左室の前壁を中心としたasynergyを認め、TEEで左冠動脈の高度狭窄を疑った。CAGでも同様の所見で同日左冠動脈狭窄解除術を施行した。狭窄の原因はLe compte法をした右肺動脈による圧迫であった。術中にTEEで冠動脈の開存を確認しながら治療を行なった。【症例3】月齢7の男児。完全型房室中隔欠損症、21トリソミーで月齢1に肺動脈絞扼術を施行された。術後6か月の間に2回急性循環不全を来し、カテコラミンサポートを要した。心臓カテーテル検査で左冠動脈主幹部に50%狭窄病変を認め、TEEで同部位の流速1.5m/秒の加速を認め、右肺動脈での圧迫と診断した。術中にTEEで冠動脈を確認しながら右肺動脈牽引及び上行大動脈胸骨固定による冠動脈圧迫解除を行なった。【考察】先天性心疾患術後の冠動脈評価にTEEやTPEを用いることにより、狭窄・閉塞を詳細に診断、術中評価に用いることができる。