[III-SY09-01] 小児心筋症の遺伝子診断 update
Keywords:心筋症, 遺伝子診断, 遺伝子型・表現型連関
心筋症は、心機能障害を伴う心筋の疾患と定義されている。心筋症は、後天性または遺伝性で、類似の表現型をもたらす幅広い疾患群を含んでいる。さらに、心筋症は、性別、発症年齢、進行速度に大きな差がある臨床的に不均一な疾患であり、遺伝的感受性と環境因子の複雑な相互作用によって説明されると考えられている。心筋症の原因は遺伝的なものと後天的なものに分類されるが、両者は相互に排他的ではない。小児の心筋症では様々な遺伝子と様々な変異があり、遺伝的多様性が特徴である。遺伝形式も常染色体顕性、常染色体潜性、X連鎖性、ミトコンドリア性と様々である。過去数十年間で、心筋症のさまざまな表現型を生み出す遺伝子の変化に関する理解は飛躍的に進んでいる。様々な遺伝子に多数の変異が同定され、異なる遺伝子変異や遺伝子変異の組み合わせが心筋症のいずれかを引き起こすことが示されてきた。最近では、同じ遺伝子の変異が、心筋症の表現型が異なり、重複している可能性のあるいくつかの心筋症で見つかっている。また、同一の遺伝子変異を有していたとしても、臨床経過、転帰は同一家族内でも様々である。心筋症につながる疾患は多岐にわたるため、心筋症の病因の特定と管理を容易にするために体系的なアプローチが必要であり、遺伝子診断は遺伝子型・表現型連関を明らかにする上で重要である。