[III-SY09-02] 小児の拡張型心筋症薬物治療update
Keywords:代償機構のキャンセル, 血管拡張, Volume reduction
心筋症の病型分類として、古典的に拡張型、肥大型、拘束型と3つに分類されることが多いが、内科的な治療を考えた時には心不全の病態に心室の収縮不全と拡張不全がどの程度の割合で存在しているのかを評価して、その病態の改善に介入する必要がある。今回は拡張型心筋症の薬物治療ということで、一般的な収縮不全を主体とする心不全の急性期治療から、慢性期治療導入について考えていきたいと思います。急性期心不全管理においてはこの心室のアンローディングが重要な要素といえる。また、心機能の悪化が存在すると、生体の代償機構が働く。1回拍出量の低下を補うべく、心拍数を上昇させ、その後心室は拡張して1回拍出量を増やそうとリモデリングが起こる。また組織への還流不全から体循環血圧を維持しようと末梢血管抵抗を上げていき、このような代償機構を一つずつキャンセルしていく作業が抗心不全治療というふうに考えるとしっくりくるかと思われる。慢性期には、過度に緊張した交感神経によって偏った自律神経のバランスをゆっくりとときほぐしていく段階に入るわけです。このように理解することで、急性期には血管拡張剤や、鎮静を主体にVolume reductionを図ることが重要です。しっかりと水分管理を行って、その後に自律神経のアンバランスを是正していくことが理にかなっていると思われます。急性期にまだ出来ることがあるにもかかわらず、性急にβ遮断薬を導入していくことで陰性変力作用によって増悪させてしまうことだけは避けなければなりません。