The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム9(III-SY09)
小児心筋症診療の最先端

Sat. Jul 8, 2023 11:00 AM - 12:30 PM 第2会場 (G4)

座長:武田 充人(北海道大学大学院医学研究院小児科), 座長:廣野 恵一(富山大学医学部小児科)

[III-SY09-05] 学校心臓検診における肥大型心筋症の心エコー描出基準値に関する検討

吉永 正夫1,2, 西原 栄起2, 畑 忠善2, 阿部 勝已2, 太田 邦雄2, 立野 滋2, 野村 裕一2, 堀米 仁志2, 廣野 恵一2, 岩本 眞理2, 長嶋 正實2 (1.国立病院機構鹿児島医療センター, 2.小児期心筋症に関する厚生労働省研究班)

Keywords:肥大型心筋症, 心臓超音波検査, 学校心臓検診

【背景】小児期肥大型心筋症(HCM)の心エコー抽出基準が決まっていない。現在は成人患者親族の基準の心室壁厚13mm、もしくは当該年齢の平均値(M)+2標準偏差(SD)が使われていると考えられる。しかし13mmでは早期診断できず、M+2SDでは44名に1人抽出し、過剰抽出になる。小児のHCM頻度推測値(1/23,000~1/34000)に準拠した基準が必要である。【目的】健康小児から得た心エコー値から小児期HCMの抽出基準値を作成する。【方法】全国11の循環器小児科施設を受診した小 1、中1、高1のボランティア健康小児623名を対象に心室中隔厚(IVST)、左室後壁厚(PWT)を測定した。体格値の中で左室心筋厚は体表面積に最も相関していたため、IVSTの場合次のように補正した。(補正したIVST値, IVSTa)=(実測IVST値)/(体表面積)^α。臨床的簡便性のために実測値での抽出基準も検討した。実測値は正規分布より裾広がりになるため暫定的に5000人~20000人に1人抽出する基準(M+3.540SD~M+3.891SD)とした。【結果】最終対象者は男子293名、女子286名。補正値算出のためのべき指数αはIVSTa用が男子0.40、女子0.48、PWTa用が男子0.47、女子0.48であった。補正後のIVSTa及びPWTaの平均値(単位mm)は男子が6.25+-0.73、6.12+-0.75、女子が5.96+-0.69、5.90+-0.77であり、補正値での中隔/後壁増高の抽出基準は男子9.0、女子は小1が8.3,中1/高1が8.7であった。実測IVST値は男子が小1; 5.85+-0.67、中1; 7.07+-0.90、高1; 7.70+-1.00、女子が小1; 5.48+-0.62、中1/高1; 6.94+-0.90であり、IVST増高の抽出値は男子の小1、中1、高1で8.5, 10.5, 11.5mm、女子は小1が8.0、中1/高1が10.5mm程度と考えられた。【結論】小児期HCM早期診断のための心筋厚増高の抽出基準は未だ決められていない。前方視的研究が必要である。