[III-SY12-01] 統合オミックス解析を基盤とした心臓神経堤細胞の系譜と細胞間相互作用の解明
心臓の発生には多くの細胞群が関与しているが、その中でも神経堤細胞は、多様な分化能を持つ哺乳類特有の幹細胞集団としてユニークな存在である。ニューロンやグリア、メラノサイトなどに分化するこの細胞群は、頭部では骨:軟骨や腱組織、心臓では大血管や冠動脈の平滑筋、弁組織の形成に寄与する。本講演では、神経堤細胞が発生期の心臓においてどのような細胞と相互作用し、どのような遺伝子制御ネットワークが働いて心臓特有の分化系譜を辿るのか、発生学的知見が病態の理解にどのようにつながるのかを、マウスと鳥類胚を用いた細胞系譜解析、シングルセルレベルのマルチオーム解析による最近の知見をもとに論じてみたい。