The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム12(III-SY12)
オミックス解析がもたらす小児心血管疾患研究の新たな展開

Sat. Jul 8, 2023 9:20 AM - 10:50 AM 第6会場 (G301)

座長:横山 詩子(東京医科大学細胞生理学分野), 座長:古道 一樹(慶應義塾大学医学部小児科)

[III-SY12-03] 新たな再生治療戦略の確立を目的とした若年期トランスクリプトームの実像解明

森 雅樹 (国立循環器病研究センター 血管生理学部)

Keywords:機能的トランスクリプトーム解析, 若年性, 細胞若年性

【背景】 臓器移植の対象となる重篤な循環器疾患の再生治療戦略を確立するために、新規の生命現象やその分子メカニズムの解明に取り組んでいる。小児には臓器の「成長」や「成熟」など、成人期にはない数々の特性があり、総称して「若年性 (juvenility)」 と位置付けた。【方法】 若年性の分子実体を明らかにするために包括的トランスクリプトーム解析をマウス心筋細胞で行い、小児期に特有の分子現象として「年齢依存的スプライシング (age-dependent alternative splicing, ADAS)」・「BEX1による相分離」・「若年性リンクRNAによるエピゲノム調節」について同定した。さらに、メタボローム解析や包括的リン脂質解析を実施した。【結果】 機能的トランスクリプトーム解析から得られた知見は、小児期の細胞が成人期のものと異なる性質をもつことを明らかにした。これらの因子が実現する小児期に特有な細胞状態を 「細胞若年性 (cellular juvenescence)」 と位置付け、実像解明を進めた。メタボローム解析や包括的リン脂質解析の結果、細胞若年性を特徴づける代謝動態を同定した。【結語】 細胞若年性を実現する分子機構を標的とすることで、小児期に活発な同化や細胞の増殖・成熟を調節することが可能であると考えられる。このような若年期に特有の生命現象を標的とした心筋再生の治療戦略に取り組んでおり、最新の知見について報告する。