The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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多領域シンポジウム

多領域シンポジウム2(III-TRS2)
ちょっと普通と違う?!先天性心疾患の呼吸療法

Sat. Jul 8, 2023 2:00 PM - 3:30 PM 第4会場 (G303)

座長:北本 憲永(聖隷浜松病院臨床工学室), 座長:磐井 成光(国立循環器病研究センター小児心臓外科)

[III-TRS2-01] 先天性心疾患における酸素濃度の重要性と肺血管抵抗を意識した呼吸補助と窒素を用いた低酸素療法および一酸化窒素吸入療法 -必ず知っておくべきこと-

金澤 伴幸 (岡山大学病院 小児麻酔科)

Keywords:呼吸補助, 酸素濃度, 一酸化窒素

酸素投与は、通常、呼吸補助療法のうち最も基本的な治療であり第一選択となる。酸素投与の意義は、患者への酸素供給であり成人においては通常制限はなく投与している場合が多い(近年は酸素過剰投与が予後不良に関連するという研究がある)。一方、先天性心疾患においては、患者は生下時から根治術に至るまでチアノーゼを有したままの患者も多く存在し、そのような病態では酸素投与は必ずしも有用でなく、むしろ病態を悪化させることもある。その理由を理解するには肺体血流比を考えるとわかりやすい。左右短絡を有する疾患は、左右短絡であっても、右左短絡であっても心拍出量、肺血管抵抗、体血管抵抗が変化することによって短絡量が変化し、肺血流量、体血流量が変化する。酸素は、容量依存性のある強力な肺血管拡張作用を持つ。したがって、肺血流増加型の疾患に対し、安易な高濃度の酸素投与は、重篤な病態の悪化を招く場合もある。逆に、肺血流低下型の疾患に対しては、酸素投与が肺血流維持に大きな役割を果たす。酸素は100%が上限であるが、21%が下限ではない。本講演では、肺血管抵抗を意識した呼吸補助における酸素濃度の重要性と窒素を用いた低酸素療法及び一酸化窒素を用いた肺血管拡張まで、必ず知っておくべき基本的な知識を述べる。