[I-CSY1-4] 論文の書き方:Reviewerからの視点
キーワード:論文の書き方, 査読者, 仮説
研究成果は論文にまとめ、学術雑誌に掲載されることではじめてその成果が認められる。投稿された論文はまず出版社のスタッフにより論文形式のチェックを通った後に学術雑誌編集長(Editor in chief)が適合性を判断し、編集者(Associate Editor: AE)を選出する。AEは査読者(通常は2名以上)を選出するしくみとなっている。査読者はその論文の分野の専門家でありいわゆる同業者(Peer)による査読(Review)であることからPeer reviewと呼ばれている。査読は論文の質を担保するための重要なプロセスであり、適合性、独創性、論理性、当該分野への重要性、体裁、倫理的配慮などの評価項目から採点し、AEは査読の内容に従ってReject, major revision, minor revision, acceptを総合的に判定している。さて、査読者が同業者であることを前提に論文を執筆するならば「これは役に立ちそうだ」「面白い」と思われる序論 (Introduction)を書くことがまず重要である。著者は面白くても査読者に面白いと思わせなければならない。次に原著論文の場合は検証・反証可能な仮説(Hypothesis)と研究の目的をIntroductionに平易な言葉で簡潔に記述する。仮説が明記されないまま論理が展開される事例が多い。次に仮説から導かれる方法、結果、考察、結論には一貫性があることが求められ、論文の軸がぶれていないかをチェックする必要がある。簡潔な仮説に対しては結論も簡潔である方が美しく、査読者は好意的に判定してくれる事が多い。本シンポジウムではこういった査読者Reviewerからの視点としての論文の書き方についてご提案したい。