第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

委員会企画シンポジウム

委員会企画シンポジウム2(I-CSY2)
子どもたちのための社会保障制度を知ろう!

2024年7月11日(木) 08:00 〜 09:30 第4会場 (4F 411+412)

座長:檜垣 高史(愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座 / 移行期・成人先天性心疾患センター)
座長:廣野 恵一(富山大学医学部小児科)

[I-CSY2-3] 特別児童扶養手当について 書類作成のポイント! -現状とこれから-

倉岡 彩子 (福岡市立こども病院 循環器科)

キーワード:特別児童扶養手当, 所得保障, 社会保障

<特別児童扶養手当とは>精神又は身体に障害を有する児童について手当を支給することにより、児童の福祉の増進を図ることを目的とし、家庭で養育している父母等に支給される。国が全額負担し、認定事務は都道府県・指定都市が行う。いずれの障害においても、1級は日常生活を不能ならしめる程度、2級は日常生活が著しい制限を受けるか、著しい制限を加えることを必要とする程度のものである。<心疾患の場合>心疾患による障害は多岐にわたるため、種々の異常検査所見が挙げられている。しかし、疾患の重症度や検査所見と、患児の日常生活レベルは必ずしも一致しない。心疾患を持つ学童に対して、一般状態区分表アにあたる“軽い運動はできない”という状態をどう判断するかがポイントとなる。<問題点>医療費助成は小児医療に必要不可欠で成人期まで途切れず継続されることが望ましい。一方で所得保障は患者家族の直接的な満足感が高い一方で、不公平感にもつながりやすい。2020年度の報告では、20歳未満の人口1万人当たりの特別児童扶養手当申請件数は都道府県によって8~37件と約4.5倍の差があり、申請の却下率に至っては全国平均9.9%に対して0.3~62.2%の開きがある。これには都道府県により認定基準の解釈や説明が異なること、認定医の数が少なく非専門領域の医師が判定すること、全国一律の所得制限であることなどが原因として挙げられている。また、近年は軽度の発達障害などでの申請が増加傾向にあることも一因とされる。<今後の展望>医療費助成と所得保障の違いを理解したうえで、本来手当を必要とする家庭への支給が今後も継続されるためには、小児医療に関わる多領域で適切な申請と認定制度の見直し、患者家族への啓蒙が必要である。