[I-JHRSJS-3] 器質的心疾患に伴う心室性不整脈に対するアブレーション
キーワード:心室頻拍, カテーテルアブレーション, 成人
高周波カテーテルアブレーションは今やあらゆる頻脈性不整脈に対して施行されるようになっており、日本不整脈心電学会(JHRS)によるJ-AB registryでは年間約9万件の手技のうち、75%が心房細動に対して行われている一方で、心室性不整脈に対しては未だ限定的で、心室頻拍に対するカテーテルアブレーションは全体の2.2%に対してのみ行われているのが現状である。昨今のアブレーション関連のテクノロジーの進歩によって、頻拍回路の解析はより精密となり、電気生理学的なアプローチによる機能的マッピング(functional mapping)は血行動態が維持されないような心室頻拍においても至適通電部位を同定でき洞調律中のアブレーションを可能にさせ、その効果も高いことが示されている。一方、アブレーションカテーテルのテクノロジーの進歩によって高周波エネルギーによる心筋焼灼巣をより安全に作成できるようになってはいるが、症例によっては心外膜側へのアプローチを要したり、厚い心筋深層部への焼灼を要する症例ではBipolar ablationといった特殊な通電方法が行われたりすることがある。また、心室性不整脈の電気的ストームは患者の生命予後にも大きな影響を及ぼし、時には救命のための治療を選択せざるを得ない状況もあり、これらの対応には多くの知識と経験が必要とされる。本講演では難治性のケースも含め、成人における心室性不整脈に対するカテーテルアブレーションについて紹介する。