[I-OR03-01] Fetal intervention and postnatal course of critical aortic stenosis
Keywords:重症大動脈弁狭窄, 胎児治療, 左心低形成症候群
【目的】胎児期に左心低形成症候群 (HLHS) へ進展することを予防する目的に重症大動脈弁狭窄 (CAS) に対する胎児期バルーン大動脈弁拡張術 (fBAV)が行われている。本邦では「重症大動脈弁狭窄症に対する胎児治療の早期安全性試験」が日本胎児心臓病学会主導で2019年から開始された。当院で施行した3例の経過を報告する。【症例1】在胎25週6日にCASに対しfBAVを施行した。合併症はなく、術後左室機能は不良のまま経過した。在胎38週6日、体重3725gで出生した。日齢2に経皮的大動脈弁形成術を施行したがその後も体循環は動脈管依存性であり、生後2ヶ月時左室拡張末期容積は59% of normalと発育が乏しくHLHSとして治療する方針とした。生後4ヶ月にNorwood/Glenn手術を行い、2歳でFontan手術に到達した。【症例2】在胎31週5日にCASに対しfBAVを施行した。合併症はなく、術後左室機能は不良のまま経過した。在胎37週2日、体重2780gで出生した。同日経皮的大動脈弁形成を施行したが効果不十分のため、日齢14に外科的大動脈弁形成術を行った。術後左室収縮は改善し、二心室循環が成立し退院した。【症例3】在胎27週4日にCASに対しfBAVを施行した。合併症はなく、術後4週間に左室内血栓を認め、その後血栓は縮小したが左室低形成が顕在化した。出生後はHLHSとして治療する方針とし、心房間交通拡大と両側肺動脈絞扼術を経て現在Norwood/Glenn手術を待機中である。【結論】3症例中、出生後二心室循環が成立したのは1症例であった。胎児治療後の血行動態改善は必ずしも十分ではなく、症例選択や手技等においてさらなる検討を要する。