[I-OR04-03] Giant right ventricular diverticulum with interrupted aortic arch
Keywords:右室憩室, 大動脈弓離断, 完全房室ブロック
【緒言】心室憩室は心内膜、心筋、心外膜の3層で構成され、外側へ突出し、収縮能は正常か軽度低下したものと定義される。右室憩室は心室憩室の中でも非常に稀な疾患である。今回、胎児エコーで診断された巨大右室憩室、大動脈弓離断複合(IAA)の症例を報告する。【症例】自然妊娠成立した。在胎26週の胎児エコーで心奇形を指摘されて当院紹介となり、心室瘤もしくは心室憩室と大動脈縮窄複合を疑われた。在胎40週3日、経腟分娩により体重2868gで出生した。右室の右外側にchamberが存在し、本来の右室と同期して収縮していた。chamberは心尖部から心基部にかけて大きく存在し、右室との間には隔壁があり、右室outlet portionに唯一の交通路を有した。右室と同期して肺動脈への駆出が見られ、右室憩室と診断した。憩室、右室、肺動脈の間に有意な狭窄はなかった。右室の心尖部方向への形成は乏しく、心室中隔は本来よりも右腹側方向に位置していた。VSD muscular inletとIAA type Aを合併しており、PGE1で動脈管を開存させた。心電図では北西軸、完全右脚ブロックを認めた。日齢5にbilateral PA bandingを施行したが、PGE1による動脈管維持が困難であり、日齢12にArch repair, VSD closure, PFO closureを施行した。術後に完全房室ブロックを生じ、pacemaker管理した。【考察】心室憩室は筋層を有しており、真の心室と収縮が同期されていることが特徴であり、壁運動が無収縮もしくは奇異性運動を有する点で心室瘤と鑑別される。本例では、右室と同期した収縮を認めたことから憩室と診断した。憩室容積が大きく、右室との交通において狭窄病変がなかったため、心内修復における憩室への介入は不要と判断した。巨大な右室憩室を有する例は稀であり、検索し得た限り大動脈弓離断との合併例は報告がなかった。発生学的な考察を含めて症例提示する。