[I-OR04-04] A case of a 9-year-old boy with Lambl's excrescences that required differential diagnosis from infectious endocarditis
Keywords:ランブル疣贅, 大動脈弁閉鎖不全症, 感染性心内膜炎
【背景】ランブル疣贅(LE)は弁尖の接合部付近に生じる糸状の構造物で、機械的な心内膜損傷部にフィブリンが沈着し、周囲に内皮細胞が増殖することによって形成される。成人領域で多くは大動脈弁閉鎖不全症(AR)に合併し、これに関連した塞栓症の報告もあり、感染性心内膜炎(IE)の疣贅、乳頭状線維弾性腫との鑑別を要する。世界的に小児の報告例は限られており、本邦での報告はこれまで認められていない。今回、LEと考えられる小児例を経験したので報告する。【症例】9歳男児。入院1週間前に発熱、咽頭痛あり、一度軽快したが3日前から再発熱、右頸部痛あり近医受診し、血液検査でWBC 33900/μL、CRP 9.95mg/dLと高値のため前医総合病院小児科に紹介入院となった。造影CTで右傍咽頭に膿瘍を認めCTX+CLDMで治療を開始し入院後4日目のフォローのCTで改善を認めないため当院に転院となった。転院後、抗菌薬治療のみで症状が改善したが、鑑別のために施行した心エコーでtrivial ARと弁に付着する2.5x1.0mm大の糸状の構造物を認めた。IEを考え抗菌薬治療を継続した。循環器内科と協議し、経食道心エコーを施行したが疣贅、血栓を認めず、血液培養の陰性を確認して3週間の抗菌薬治療を終了した。抗菌薬終了後、再発熱と構造物の変化を認めないことを確認し退院とした。入院中に施行した頭部MRIで脳梗塞の所見を認めなかった。【考察】児の大動脈弁はアンバランスで弁尖に小さな裂け目を持ち、これに一致した逆流と構造物の付着を認めた。治療経過でIEは否定的で、形態的に乳頭状線維弾性腫とも異なるためARに伴うLEと考えた。心内膜損傷後、年数を経て形成されると言われるが、先天的に弁構造異常があれば小児でも起こりうるものと推測された。【結語】ARに伴うLEと考えられた小児例を経験した。退院後フォローアップ中も発熱なく、構造物の変化を認めていない。ARの患児ではランブル疣贅も念頭に置き診療を行う必要がある。