[I-OR05-06] 当院におけるファロー四徴症手術の肺動脈弁輪温存・非温存の比較検討
キーワード:ファロー四徴症, 自己弁温存, trans annular patch
【背景】ファロー四徴症(TOF)の心内修復術(ICR)において自己弁が温存できるかは患者の遠隔期QOLにとって重要である。今回、当院で施行したTOFに対するICRの短期・中期成績を後方視的に検討した。【方法】2014年1月から2023年12月の期間で、TOFに対して一期的にICRを施行した49例を対象とした。今回、TOFは漏斗中隔の前方変位に加え右室流出路狭窄を合併した症例と定義して、非チアノーゼ症例も含めた。自己弁を温存できた群をpreserve群 (P群)と自己弁を温存できなかった群をnon-preserve群 (N群) とした。49例中P群は35例、N群は14例であった。【結果】観察期間はP群73ヶ月(1-116) vs N群48.5ヶ月(9-119)(p=0.07)であった。手術時年齢及び体重はP群13ヶ月(3-35)vs N群13ヶ月(9-27)(p=0.72)、P群8.3±2.0kg vs N群8.9±1.7kg (p=0.35)であった。術式として肺動脈弁交連切開はP群が14例、N群が9例で実施され、術中に測定した肺動脈径%NはP群88.5±9.4% vs N群62.4±13.5(p<0.01)で有意にN群が低値であった。N群の弁輪拡大は全例trans annular patch(TAP)法を用いた。術後死亡はなく、合併症も両群間で差はなかった。直近の心エコー検査(follow up 期間:P群32.5ヶ月(5-115)vs N群24ヶ月(4-115))でLVIDd%NはP群97.8±9.7% vs N群102±12.5% (p=0.25)で差を認めなかった。PR gradeはP群2(1-3) vs N群3(2.5-3) (p<0.01)で有意にN群が高かった。RVOTとmain PAの血流速度はそれぞれP群1.1±0.3m/s vs N群1.1±0.4(p=0.91)、P群2.0±0.7m/s vs N群1.8±0.4(p=0.68)で差は認めなかった。観察期間中の治療介入はN群で2例あり、末梢肺動脈狭窄に対してカテーテル的肺動脈形成術を2例、外科的肺動脈形成術を1例実施した。運動制限はP群で2例認めた。【結論】TOFのTAPでは多くで中等度以上のPRを認めた。観察期間中にPRに対する治療介入は認めなかったが長期的なフォローアップが必要である。