第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

カテーテル治療

一般口演8(I-OR08)
カテーテル治療2

2024年7月11日(木) 09:10 〜 10:10 第7会場 (4F 404-406)

座長:小田中 豊(大阪医科薬科大学 一般小児科)
座長:小柳 喬幸(慶應義塾大学医学部小児科)

[I-OR08-02] Gore Cardioform ASD Occluder留置に伴うイベントの解析

嶋 侑里子1, 矢崎 諭1, 吉敷 香菜子1, 斎藤 美香1, 嘉川 忠博1, 佐地 真育2, 舟木 孝志2, 高見澤 格2, 七里 守2, 上田 知実1 (1.榊原記念病院 小児循環器科, 2.榊原記念病院 循環器内科)

キーワード:GCA, サイズアップ, 回収

【背景】Gore Cardioform ASD Occluder(GCA)が市販され2年半が経過し、同デバイスに伴う合併症が報告されている。【目的】低侵襲の治療をより多くのこども達に届けるために、GCAの長所を生かした治療を考えるとともに、同デバイスを用いた治療の安全性を高めるために何が必要かを検討すること。【方法】当院で2021年10月から2024年1月までにGCAを用いたASD閉鎖術を企図した54例を対象として、治療実施の有無、治療手技時のイベント発生について検討した。【結果】54例のうち、経食道心エコー評価にてGCA留置を断念したものが1例、留置を試みたが達成できず他のデバイスに変更したものが1例であり、手技的な成功率は98%であった。GCAを留置した52例のうち、何らかのイベントがあった症例は8例(15%)で、その内訳はサイズアップ6例、サイズダウン1例、ロック後の回収・置き直し1例であった。【考察】サイズアップの半数は導入初期の形状付きロングシースを使用する前の症例であり、留置の技術的な問題が主要因であった。他のサイズアップと置き直し例は、エコーおよび透視等の観察によって明らかとなったGCAの位置不正や留置形態上の問題であり、最近増加がみられている脱落につながるリスクがあるものであった。中止例やイベント例は必ずしも初期症例に偏っておらず、ラーニングカーブをクリアした後と思われる時期にも発生しており、経験蓄積の過程において、習熟による治療適応の拡大と安全性を意識した適応の制限とのバランスを意識することが不可欠と考えられた。【結論】GCAは使用経験蓄積途上であり他のデバイスよりイベント発生率は高い。ASDの形態に応じた適応拡大につながる有用なデバイスであるが、安全性を意識した適応判断の姿勢が必要である。