第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

画像診断

一般口演12(I-OR12)
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2024年7月11日(木) 15:30 〜 16:30 第7会場 (4F 404-406)

座長:加藤 温子(国立循環器病研究センター 小児循環器内科)
座長:佐藤 誠一(沖縄中部療育医療センター)

[I-OR12-02] 心臓 MRIにおける脾臓 native T1値に関する検討

田尾 克生, 石川 友一, 山村 健一郎, 倉岡 彩子, 鈴木 彩代, 佐藤 正規, 白水 優光, 村岡 衛, 連 翔太, 中野 俊秀, 佐川 浩一 (福岡市立こども病院)

キーワード:脾臓, T1mapping, 心臓MRI

【背景と目的】心臓 MRI(CMR)のnative T1緩和時間は,心筋や肝臓など実質臓器の組織性状を定量評価する新しい画像診断法である.我々は肝臓T1値がCVPや肝機能障害と相関することを報告した.一方,脾臓のT1値は報告が少なくその具体像は不明である.脾臓T1値が臨床的に有用か否かその可能性を探索した.【方法】対象は2021年に当院にて心臓カテーテル検査・CMRを48時間以内に行った先天性心疾患患者121例(P群). 心筋 T1mapping撮影同一断面上の脾臓のT1緩和時間(ST1値)を3断面平均値として算出し,血行動態および血液生化学所見と比較した.また,対象を3群(B群:BVR40例,G群:BDG31例,F群:Fontan50例)に分け群間比較し,健常小児24例(C群)とも比較した.【結果】ST1に群間差はなかったが,C群より低かった.(P群1169±86ms, C群1212±62,P=0.019)C群ST1は年齢と強く相関し(r=-0.76),年齢の関数(ST1=-10.546×年齢+1284.2)と表現された.年齢の影響を排除するため,P群のST1を年齢からこの関数で求められる対正常比(%ofNormal)で他指標と比較すると,netflowIVC(r=-0.31),AST(r=-0.21),PLT(r=-0.23),CVP(r=0.19),eGFR(r=-0.24)と相関し,重回帰分析では netflowIVCのみ関連した(P<0.01).Fontan群のみでは肝臓T1(r=0.29),netflowIVC(r=-0.40),AST(r=-0.53),eGFR(r=-0.48)と相関し,重回帰分析で ASTが有意に関連した.(P<0.01)【考察】脾臓T1対年齢正常比は下大静脈還流量と負相関し,Fontan循環ではASTと相関し腹部臓器のうっ血性障害を反映する可能性がある.CVPと強く相関する肝臓T1と相関傾向が若干異なり,それぞれが異なる切り口からうっ血を反映しているのかもしれない.【結論】脾臓T1値は肝臓T1値と同様,腹部臓器のうっ血性障害指標となり得る.両者を組み合わせることでより精度の高い指標となるかもしれない.