[I-P01-3-03] 近似した撮影条件では、心臓カテーテルとMRIの血流量は一致するのか?
キーワード:Qp/Qs, 心臓MRI, 心臓カテーテル
【背景】先天性心疾患では、心内・心外シャントの存在や、弁逆流・狭窄が生じることで複雑な血行動態が作られ、正確な病態の把握には肺・体血流量(Qp、Qs)の測定が重要である。血流量測定のゴールドスタンダードは心臓MRI検査(CMR)であり、測定値の正確性は心臓カテーテル検査(Cath)と比較されることが多い。各々の測定値は、撮影条件により変化するため単純な比較はできないが、条件を近似させた場合は血流量も一致することが予想される。【目的】撮影条件を近似させたCathとCMRの血流量は真に一致するか調べること【方法】2022-2023年に、CathとCMRを施行した105名のうち、Cath終了後7時間以内に、鎮静下でCMRを行った30名を対象にした。Cath、CMR(2DPC、4D flow)でQp、Qsを測定した。鎮静にはDexmedetomidineの持続静注と、適宜thiopentalとmidazolamの静注を行った。【結果・考察】年齢 5(0.6-20)歳、体重16.2(4.8-66.2)kg、心拍数 91(57-131)bpm。CathのQpとQsは2DPCと4D flowよりも有意に高かった(平均Qp Cath vs 2DPC vs 4D flow; 8.18 vs 3.03 vs 2.24 L/min, 平均Qs Cath vs 2DPC vs 4D flow; 5.87 vs 2.11 vs 1.92L/min)。一方でBland-Altman分析では、Qp/Qsの差の平均は小さかった(Cath vs 2DPC; 0.02, Cath vs 4D flow; 0.14)。撮影条件が近似しているCMRの血流量がCathよりも有意に低い理由は、鎮静時間が長いことによる、心拍出量の低下が関係していると考える。【結論】CathとCMRの撮影条件を近似させても血流量は一致しなかった。血流量は大きく変動することを認識すべきである。