[I-P01-3-06] リアルタイム3DCG解析によって診断できた多孔性心室中隔欠損症の2例
キーワード:心室中隔欠損症, リアルタイム3DCG, 術前診断
【緒言】多孔性心室中隔欠損症(multiple VSDs)は、外科的心内修復術前の正確な診断が重要である。我々は、医用画像3D viewerであるViewtify©を用いることでエコーでは詳細な評価が困難であったmultiple VSDsの詳細な評価が可能となった2症例を経験したので報告する。【症例】症例1:女児。両房室弁交叉症(房室関係一致、心室大血管関係不一致)、両大血管右室起始症、心房中隔欠損症。日齢8に肺動脈絞扼術+動脈管結紮術、月齢1に経皮的心房中隔裂開術を施行した。当初、VSDは1か所のみと考えられていたが、造影CTのDICOMデータをViewtify©で再構築した結果、エコーで確認したVSDの他に2か所のVSDを同定し、計3か所のVSDに対して介入を行う方針とした。月齢11に大血管スイッチ術+心室内血流転換術+VSDパッチ閉鎖術+ASD閉鎖術を施行し、術後22日目に退院した。術後2か月時点で順調に経過している。症例2:男児。大動脈縮窄複合、多孔性心室中隔欠損症(膜様部+筋性部)、心房中隔欠損症。日齢2に大動脈弓修復術+肺動脈絞扼術を施行した。筋性部VSDはスイスチーズ状であり、術前形態評価がエコーのみでは困難であった。造影CTのDICOMデータをViewtify©で再構築した結果、VSDの詳細な形態が判明した。現在手術待機中である。【考察】multiple VSDsの術前診断には主に超音波検査が用いられるが、複雑心奇形や肺動脈絞扼術後等で右室圧が高い場合等には、小欠損や筋性部欠損の見逃しや、詳細な評価が困難な場合がある。Viewtify©を用いて造影CT画像をリアルタイム3DCGへ変換することで、エコーでは確認が困難な心内構造を詳細に評価可能となる。さらにViewtify©では、任意の断面で心血管の内腔側から欠損孔を観察でき、surgeon viewが得ることも可能となり、外科治療に貢献できる。【結語】Viewtify©は、既存のモダリティでは検出困難な複雑な心内形態の詳細な解剖学的評価を可能とし、surgeon viewを描出できる。