[I-P01-5-07] Investigation of intraventricular Energy Loss in Fontan circulation using Vector Flow Mapping
Keywords:Energy Loss, Vector flow mapping, Fontan術後
【背景】二心室循環患者でのVector Flow Mapping(VFM)を用いた心室内のEnergy Loss(EL)が心不全評価の指標として注目されている.一方で単心室患者での心室内のELについて検討した報告は未だ少ない.今回Fontan術後と正常心との間での心室内のELのcardiac cycleの中での違いについて,左室体心室(SLV)と右室体心室を区別した上で比較検討を行なった.【方法】対象は2017年8月から2024年1月までに経胸壁心エコー図検査にてVFMデータを取得した左心低形成症候群(HLHS)患者12人(14-18歳),Ebstein奇形など含むSLV患者6人(11-17歳)及び正常心患者(control)15人(10-19歳).機器はLISENDO 880 LE(富士フィルムヘルスケア株式会社)を使用した.VFM解析ソフトにはASTRELLA CV-Linqを用いた.評価項目は拡張期及び収縮期におけるELの最大値及びArea under curveの値の比(EL-P D/S, EL-AUC D/S),拡張期のELの変化パターンとした.【結果】EL-P D/S(HLHS vs SLV vs control:2.0[1.6-2.2] vs 1.8 [0.9-2.9] vs 5.1 [4.0-6.4], p<0.01), EL-AUC D/S(HLHS vs SLV vs control: 1.9[1.5-2.4] vs 2.1 [1.0-2.4] vs 4.7 [3.4-5.9], p<0.01)とcontrolではフォンタン循環と比べて拡張期と収縮期のELの値の比が大きいことが示唆された.また拡張期のELのパターンの変化はcontrolでは全例で単峰性だったのに対し, HLHSでは10/12例(83%),SLVでは4/6(67%)で多峰性だった.【結論】controlでは拡張期に急峻な単峰性のELの変化のパターンを取るのに対し,Fontan術後患者では拡張期と収縮期のELの差が小さく、拡張期のELの変化が多峰性になる異なる変化のパターンを示す傾向が見られた.この変化のパターンは不全心における総合的な心臓のエネルギー効率の様相を示している可能性がある.