[I-P01-5-08] Haemodynamics of right-left short-circuit development in atrial septal defects.
Keywords:心房中隔欠損症, 奇異性脳梗塞, 右左短絡
【背景】心房中隔欠損(ASD)では欠損孔が大きい場合、右心負荷から心不全、不整脈、肺高血圧などを起こすため、治療が必要とされている。また、右左シャント(RLS)により奇異性脳梗塞を起こす危険性が示唆されているが、どの程度のリスクとなりうるのかは不明である。【目的】心房中隔欠損におけるRLS のリスクを経食道エコー図検査(TEE)を用いて、コントラストエコー法を用いて検討する。【対象】2022年1月から2024年1月の間に当科にて全身麻酔下にTEEを施行した63例のうち、55例を解析した。年齢2-76(16)歳、男性22、女性33、ASD最大径1-33.3(13.7)mmであった(()は中央値)。【方法】全身麻酔下、鼠径部シースよりコントラスト静注を行い、TEEでRLSを観察した。通常の人工呼吸管理(陽圧換気、PEEP 0mmHg)にてRLSを認めない場合、Peep10mmHgもしくは20mmHgをかけ解除するvalsalva法(V法)にて同様の観察を行った。シャント量の判定には経胸壁エコー図検査によるシャント量の判定に準じた。【結果】通常管理下でのRLSは44/55(88%)であった。RLSを認めなかった症例でもV法を行うと全例にRLSを認めた。通常の人工呼吸管理下でのRLSは心房拡張期に見られた。V法においては陽圧下ではなく、陽圧を解除した瞬間にRLSを認めた。通常管理下でのシャント量はシャントなし:11人、grade1:9人, grade2:20人, grade3:8人, grade4:7人で30歳までの群に比べると40歳以降の群でgrade3,4の割合が増加した。(17.6%:42.8%)RLSの有無とASD径には有意差を認めなかったが、薄く可動しやすい心房中隔、静脈弁を有する群でgradeが高い傾向があった。【考察・結論】RLSはASDの径には関連はなく、V法を含めるとほぼ全例で認められた。RLSはASD径によらず、脳梗塞のリスクとなる可能性が高い。年齢、中隔の形態、静脈弁の存在はRLSを増悪させる因子となりうる。