[I-P01-6-03] 2か月男児のIVIG不応の川崎病治療におけるシクロスポリンの有効性
キーワード:川崎病, シクロスポリン, 乳児
【背景】乳児の川崎病は冠動脈病変の合併や免疫グロブリン静注療法(IVIG)不応例が多い。特に生後4か月未満の場合は、IVIG不応例に対する免疫抑制剤の有効性、安全性に関する報告が少なく、慎重な治療選択が求められる。生後2か月でIVIG不応の川崎病を発症した男児に対して、3rd line治療でシクロスポリン(CsA)の投与を行い、合併症なく治療することができたため、CsAの有効性と安全性について報告する。【症例】2か月男児。発熱を主訴に入院し、第3病日に主要症状4項目(発熱・眼球結膜充血・咽頭発赤・発疹)と右冠動脈(2.5mm、Z 4.04)、左冠動脈主幹部(2.7mm、Z 4.15)の拡張を認め川崎病と診断した。群馬スコア6点であり、1st line治療としてIVIGにプレドニゾロンを併用したが解熱しなかった。第5病日に2nd line治療としてIVIGを施行し、一度解熱したが第8病日に再発熱した。同日3rd line治療としてIVIGにCsAを併用した。CsAは経口投与で5mg/kg/day分2で開始した。第9病日には解熱し、主要症状も消失した。冠動脈拡張は初回のエコー所見から悪化せず、治療とともに徐々に縮小した(第19病日:右冠動脈 1.7mm、Z 1.51。左冠動脈主幹部 2.0mm、Z 1.73)。CsAによる明らかな有害事象は認めず、第19病日に退院した。【考察】IVIG不応の川崎病に対する治療選択は複数あるが、2か月の乳児における使用報告は限定的である。CsAは、冠動脈病変の抑制効果や3rd lineでの有効性が報告されており、現在まで川崎病に対する使用例では重篤な有害事象の報告も少ない。今回は有効性・安全性の面からCsAを選択した。易感染性からの感染症の罹患、腎機能障害や高血圧などに注意して使用し、明らかな有害事象は認めなかった。【結論】乳児期早期のIVIG不応の川崎病に対して、CsAは有用で安全に使用できる可能性がある。