[I-P02-1-04] 心室中隔欠損症を伴う18トリソミー児に対する肺動脈絞扼術の有効性について
キーワード:18トリソミー, 肺動脈絞扼術, 心室中隔欠損症
【背景】当院では2023年から18トリソミー児に対してICRを目標とした肺動脈絞扼術(PAB)を始めており、3例を経験した。何も連携病院からの搬送症例であり、手術に関して家族に十分な説明を行い同意を得た。【症例1】女児、VSD(膜様部8mm)、PDA、ASD、C型食道閉鎖、出生体重1255g。搬送後に循環不全となり筋弛緩と持続利尿剤を要した。日齢78にPAB、動脈管結紮術を行った。バンドは19mmでQp/Qsは1.5、エコー上のPAB Vmaxは3.8m/sだった。POD3で筋弛緩を、POD8でカテコラミンを終了し挿管のままPOD13に転院とした。転院後は抜管困難で気管切開を行った。【症例2】女児、VSD(膜様部5mm)、PFO、出生体重1844g。術前の挿管管理、カテコラミン使用はない。日齢17にPABを行った。主肺動脈に左冠動脈が近接しており、バンドをかけると徐脈、低血圧になり両側PABへ変更した。両側肺動脈に11mmのバンドをかけた。術中の Qp/Qs 1.03であり、エコーでは右PAB 2.4m/s、左PAB 2.5m/sだった。POD4に抜管、カテコラミンを終了し、POD14に転院した。月齢4でICRを行った。【症例3】女児、VSD(膜様部7mm)、PFO、C型食道閉鎖、出生体重1560g。挿管下で搬送され、搬送翌日に徐脈、低血圧がありカテコラミンを開始した。搬送3日目に血便がありNPOとした。日齢48にPABを実施。バンドは17.5mmで、術中Qp/Qs 1.7であり、Vmax 3.6m/sだった。カテコラミン、鎮静の減量に伴い尿量が減少し、POD6で再度bandingを行った。16.5mmに増し締めし、術中のQp/Qs 1.3となった。再手術からPOD6に乳び胸水を発症したが難治ではなく、POD18に挿管のまま転院とした。【考察】3例は低出生体重児だったが、集中治療管理を離脱し、ICRを目指せている。18トリソミー児のPABでは出生体重、合併症、術前の挿管管理の有無が術後経過に影響している可能性がある。術後は再手術、ラインの選択・早期入替も考慮し慎重な観察が必要となった。