[I-P02-3-04] Cine MRIにより気管軟化症と診断した2例
キーワード:気管気管支軟化症, Cine MRI, 先天性心疾患
【背景】気管軟化症の乳児の17%に先天性心疾患を合併していたという報告もあり、これらの合併率は多いことが知られている。気管軟化症の診断は気管支鏡で行われることが多いが、施行可能施設は限られる。【症例1】1歳男児。心室中隔欠損(傍膜様部欠損)、口蓋裂術後の児でその他の合併奇形の指摘なし。以前より感冒罹患時に喘鳴と陥没呼吸あり。特異的IgE抗体の陽性所見はなく、喉頭ファイバースコピーで咽頭軟化症の所見を指摘されていた。Cine MRIを撮像し、T2WIダイナミックにおいて呼気吸気に応じた気管径の変化と、呼気時に気管狭小化あり、気管軟化症と診断した。【症例2】2歳女児。大動脈縮窄、心室中隔欠損(傍膜様部欠損)、大動脈弁狭窄に対しNorwood術後の児で、奇形症候群の指摘なし。気道感染を契機に1ヶ月のあいだ遷延する呼気性喘鳴あり。特異的IgE抗体で有意な所見なく、喉頭ファイバースコピーでは軽度咽頭軟化の所見と左声帯麻痺を指摘されていた。Cine MRIを撮像し、T2WIダイナミックでの気管径の狭小化あり。また、呼気時の撮像では気管の扁平化あり、気管軟化症と診断した。【考察】気道評価としてCTやMRIの撮像が可能な施設は多いと考えられ、腫瘤あるいは血管などによる外部からの気管の圧迫についての情報が得られるが、気管軟化症の診断では動的な評価が必須となる。CTを使ったCine CTでは、検査時間が短く、空間分解能に優れるが、小児においては特に被曝量が懸念される。それに対しCine MRIは磁気を用い被曝がなく、組織分解能に優れるものの、乳幼児では鎮静が必要となることや、体格・構造の小ささから空間分解能に限界があるため、小児領域では1歳以降の報告が多い。これらCine画像では気管支鏡と比較して、より自然換気に近い条件で評価できる可能性がある。【結語】Cine MRIは気管軟化症の診断に有用と考えられ、今後、症例の蓄積が望まれる。