[I-P02-6-02] 川崎病症例における心臓超音波検査と冠動脈造影での冠動脈径との比較検討
キーワード:川崎病, エコー, 冠動脈造影
【背景】川崎病では、炎症により中膜が破壊され脆弱となった血管に内圧がかかり、冠動脈が拡大すると考えられている。川崎病全国調査によると、川崎病の後遺症である冠動脈拡大・冠動脈瘤は全体の2.3%に認められ、当院では心エコー検査(US)により径およびZスコアを測定し診断およびフォローを行っている。冠動脈瘤を合併した場合は発症から100日未満に冠動脈造影(CAG)を行い長期予後予測に用いているが、USとCAGで冠動脈径が解離していることが少なくない。【目的】CAG直前の、USによる測定とCAGによる測定では冠動脈径にどの程度差があるかを調査する。【方法】当院にて2013年から2024年にかけて川崎病性冠動脈瘤の評価目的にCAGを行った症例を対象とし、それぞれにおいてCAG直前にUSで測定した冠動脈径と実際にCAGで得られた径を後方視的に比較検討した。【結果】対象は35症例(男児22例、女児13例)であった。American Heart Association冠動脈セグメント分類のsegment 1、segment 3、segment 5、segment 6、segment 11において計測値を比較すると、segment 1およびsegment 5ではUSでの径が有意に大きく(それぞれp<0.001、p=0.02)、segment 3では有意にCAGでの径が大きく(p=0.002)、segment 6およびsegment 11では有意差を認めなかった(それぞれp=0.97、p=0.27)。一方で、冠動脈瘤のみに絞って比較検討するとUSでの径が有意に大きい結果となった(p=0.01)。【考察】川崎病では冠動脈の炎症による輝度亢進を認めるため、エコーでは血管壁の正確な判定がしばしば困難となることがあり、またsegmentごとにエコービームと血管との角度や胸壁からの距離、周囲構造が異なり、それらによりUSとCAGでの計測値が解離している可能性がある。【結論】冠動脈径をエコーで計測する際には、どのsegmentかによってCAGでの計測値と解離することがあるためその解釈には注意する必要がある。