[I-P02-6-04] 免疫グロブリン製剤投与後に自己免疫性溶血性溶血性貧血を発症した川崎病の一例
キーワード:川崎病, 免疫グロブリン製剤, 溶血性貧血
【背景】川崎病急性期治療において免疫グロブリン製剤(IVIG)の使用は第一選択だが、IVIG後の溶血性貧血が時折報告されている。【症例】症例は4歳女児。近医より発熱4日目、頸部リンパ節腫脹で紹介され、川崎病主要症状6/6項目を認めたため同日入院した。群馬スコアは3点で第4病日よりIVIG 2 g/kg、アスピリン(ASA) 30 mg/kg/dayで治療を開始した。第5病日に解熱を得られたが第6病日に39度と再発熱を認めたため、ASA 30 mg/kg/dayに加え、同日より追加IVIG 2 g/kg、PSL 2 mg/kg/dayで加療した。以後は解熱し主要症状も消退傾向であったため第11病日よりPSLを1 mg/kg/dayに減量したが、第13病日の血液検査にてHb 6.4 g/dLと貧血を認めた。網状赤血球数上昇、ハプトグロビン値低下、温式自己抗体陽性であり、自己免疫性溶血性貧血と診断した。赤血球輸血に伴う溶血の可能性があるため輸血を回避し経過観察したが、貧血は第15病日以降次第に改善した。自己抗体以外の不規則抗体は検出されなかった。第17病日よりPSLを0.5 mg/kg/dayに漸減、第21病日よりPSL内服を終了し第25病日に退院した。冠動脈病変はなく、退院後も溶血性貧血の再燃を認めていない。【考察】本症例において児の血液型はAB型であり、免疫グロブリン製剤中の抗Aもしくは抗B抗体が関与し、高容量IVIG、10%製剤、短期間での再投与によって溶血が増長された可能性がある。本症例ではステロイドを減量したところで貧血の進行を認めておりステロイド減量は急激なHbの低下に注意して行うべきであった。また自己免疫性溶血性貧血診療の参照ガイドにおいては初期治療としてプレドニゾロン1mg/kg、4週間投与が推奨されているが、本症例では2週間程度の加療で以後再燃を認めていない。川崎病治療における免疫グロブリン製剤投与後の溶血性貧血は自然に改善する例も多く、症例に応じてステロイドの投与期間を考慮する必要がある。