[I-P03-2-06] A case of converting to single ventricle circulation due to severe mitral stenosis at 2 months of age
Keywords:僧帽弁狭窄, 肺高血圧, 単心室
【背景】生後早期の重症な僧帽弁狭窄症では、治療に難渋することが多い。我々は、重症僧帽弁狭窄により肺高血圧症を呈し、生後2か月で二心室循環から単心室循環とした症例を経験したので報告する。
【症例】胎児診断例だったが破水し骨盤位のため、在胎35週0日体重2115g、緊急帝王切開で出生した。出生後、僧帽弁狭窄症、大動脈二尖弁と診断した。パラシュート僧帽弁で、僧帽弁輪径、左室拡張末期径、大動脈弁輪径はいずれも約70%Nだった。大動脈縮窄はなかった。重症新生児一過性多呼吸のため呼吸管理を要したが、日齢28で退院した。生後2か月時、僧帽弁の流入波は2.5m/sと加速し、平均圧較差は14mmHgに達していた。三尖弁逆流速度とエコー短軸の心室中隔の形態から肺高血圧と判断した。卵円孔は閉鎖していた。体重3.6kgと体格が小さく僧帽弁形成術は困難と考え、単心室循環への変更を検討した。心臓カテーテル検査では、肺動脈圧57/28mmHg、右室圧61/EDP8mmHg, 肺動脈楔入圧14mmHgといずれも高値だった。肺血管抵抗は8.13Wood・U・m2と高く、酸素負荷により5.44 Wood・U・m2へ改善した。右室圧が高く体循環を担えると判断し、DKS吻合、心房中隔欠損作成、右modified BT shunt術(4.0mm)を施行した。術後も中等度の三尖弁逆流が残存したが、合併症なく術後1か月で退院した。生後10か月のカテーテル検査で平均肺動脈圧は17mmHg、肺血管抵抗は1.88 Wood・U・m2まで軽快した。生後11か月で両方向性Glenn手術および三尖弁形成術を行い、術後17日で退院した。肺血管拡張薬の内服はなく在宅酸素のみ行っている。
【考察】乳児期早期の僧帽弁形成術/弁置換術の難易度は高い。長期的治療戦略には弁輪径のみならず形態評価が重要と考えられた。また重症僧帽弁狭窄で、肺高血圧のため右室圧が高い症例では、右室が体循環を担える可能性が高く、肺血管の反応性が保たれていれば、単心室循環への移行も選択肢になると考えられた。
【症例】胎児診断例だったが破水し骨盤位のため、在胎35週0日体重2115g、緊急帝王切開で出生した。出生後、僧帽弁狭窄症、大動脈二尖弁と診断した。パラシュート僧帽弁で、僧帽弁輪径、左室拡張末期径、大動脈弁輪径はいずれも約70%Nだった。大動脈縮窄はなかった。重症新生児一過性多呼吸のため呼吸管理を要したが、日齢28で退院した。生後2か月時、僧帽弁の流入波は2.5m/sと加速し、平均圧較差は14mmHgに達していた。三尖弁逆流速度とエコー短軸の心室中隔の形態から肺高血圧と判断した。卵円孔は閉鎖していた。体重3.6kgと体格が小さく僧帽弁形成術は困難と考え、単心室循環への変更を検討した。心臓カテーテル検査では、肺動脈圧57/28mmHg、右室圧61/EDP8mmHg, 肺動脈楔入圧14mmHgといずれも高値だった。肺血管抵抗は8.13Wood・U・m2と高く、酸素負荷により5.44 Wood・U・m2へ改善した。右室圧が高く体循環を担えると判断し、DKS吻合、心房中隔欠損作成、右modified BT shunt術(4.0mm)を施行した。術後も中等度の三尖弁逆流が残存したが、合併症なく術後1か月で退院した。生後10か月のカテーテル検査で平均肺動脈圧は17mmHg、肺血管抵抗は1.88 Wood・U・m2まで軽快した。生後11か月で両方向性Glenn手術および三尖弁形成術を行い、術後17日で退院した。肺血管拡張薬の内服はなく在宅酸素のみ行っている。
【考察】乳児期早期の僧帽弁形成術/弁置換術の難易度は高い。長期的治療戦略には弁輪径のみならず形態評価が重要と考えられた。また重症僧帽弁狭窄で、肺高血圧のため右室圧が高い症例では、右室が体循環を担える可能性が高く、肺血管の反応性が保たれていれば、単心室循環への移行も選択肢になると考えられた。