[I-P03-2-08] Multiple malformation syndrome complicated by complicated heart disease and airway stricture
Keywords:Multi-professional, Airway constriction, Congenital heart disease
背景:先天性心疾患の中には成長に伴い肺血管が気道を圧迫し,気道狭窄などを合併する症例がある.特に稀な遺伝性疾患は, 診断確定しても予後についての情報が必ずしも病態を反映するわけではなく, その長期管理や治療には,多職種を含むチーム医療による柔軟な対応が必要不可欠である.今回,生後早期には待機的治療を検討していたが, 気道狭窄症状の急速な進行を背景に積極的治療から緩和的治療に移行した症例を報告する.症例:3歳男児.多発外表奇形,両大血管右室起始・遠位型心室中隔欠損症・肺動脈弁/弁下狭窄を認め, POLR-2A遺伝子異常と診断した.発達遅滞は高度であったが文献的に生命予後は良好とされており, 呼吸障害はなかったため安定して自宅で管理されていた. しかしながら2歳以降急激な呼吸障害・窒息様の病態を頻回に認め, 精査したところ肺動脈拡張に伴い左肺動脈が後方に押し付けられ左主気管支分岐部に高度な狭窄を形成していた.以降気道狭窄症状は急速に進行したため, 姑息的な気道への介入,心内修復等の選択肢のなかでの早期判断を迫られることになり,家族背景と本人のこれまでの発達の様子から気管切開し施設入所を目指す方針とした.考察:POLR-2A遺伝子異常は必ずしも予後不良疾患とされていないため積極治療対象と判断してきた.しかし本例のような比較的高度かつ気道にも影響を与える心内構造異常を合併した報告はなく,発達も既報と大きく異なったこと,社会的背景も踏まえて緩和的治療を検討するに至った.気道疾患の合併により当初想定されるよりも早期の介入検討を余儀なくされるだけでなく,家族背景,在宅での家族の負担や社会資源の利用等多職種連携の重要性が飛躍的に高まることを念頭に置く必要がある.