[I-P03-3-02] 起立性調節障害の成人期移行例ではCoefficient of Variation of R-R intervalが自覚症状の改善に伴い増加する
キーワード:起立性調節障害, 自律神経, 成人期移行
【はじめに】起立性調節障害(OD)は、主に思春期に発症する自律神経機能不全であり、病態としては立位での下肢への体液貯留に対する調節機能の破綻によると考えられている。原因となる他疾患を除外し新起立試験やヘッドアップチルト試験を行い診断やサブタイプおよび病勢の評価を行うが、これらの試験は医療者側も患者側も負担は少なくないため、より簡便に病勢を把握する方法が求められている。Coefficient of Variation of R-R interval(CVRR)は、12誘導心電図で自律神経の活動性を評価する検査であり、客観性の乏しさから近年はあまり用いられなくなっていたが、最近ではOD症例についての報告が散見されるようになった。今回、当院でのOD症例における症状とCVRRの変化について検討した。【対象・方法】2023年2月から2024年2月までにODの診断で当院に通院し、CVRRを複数回測定した在宅ではない通学や通勤をしている患者11症例(小児5例、成人6例)。小児群14~17歳(中央値14歳)で女性3例、成人群19~36歳(中央値24歳)で女性6例。OD症状チェックシート(CS)とCVRR値の変化の関係について後方視的に検討した。【結果】発症からの期間の中央値は小児群で2年、成人群で9年であった。初回CS値、CVRR値に小児群と成人群間で有意差はなく、初回HRのみ成人群で有意に低値(p<0.05)であった。CS改善とCVRR増加の間に成人群で正の相関(R=0.92、p<0.01)を認めた。【考察】小児群は起立困難以外の症状の自覚があいまいで、飲水などの生活指導を守れない例が多かった。一方、成人群では社会生活出来る程度に適応出来ており、飲水励行などで症状の改善が自覚されたため患者本人の疾患への理解が進み生活指導を順守できた例が多かったことも結果に影響した可能性がある。