[I-P03-6-07] 完全型房室中隔欠損の外科治療成績―房室弁に再介入を要した症例を中心に―
キーワード:AVSD, 合併症, 成績
【背景】完全型房室中隔欠損の心内修復後に弁機能不全に苦労することを時に経験する.【目的・方法】2011年から2023年までの完全型房室中隔欠損(中間型を含む)(ファロー四徴症,両大血管右室起始症合併)含む74例の心内修復術の成績を房室弁に再介入を要した症例を中心に検討した.初回心内修復術式は2-patch法を基本として,心室間交通が小さいものや弁下の腱索が余りにも密でpatchを挿入できないものにmodified 1-patch法を用いている.術者の変遷はあるものの2019年から心室側patchの形状をハート型とすることが多くなった.【結果】月齢中央値12ヶ月,体重中央値6.9kg.術中右側房室弁形成の不調から1.5心室治療へ術中変更を要した症例を認め,遠隔期にも両側房室弁の再形成を要した.心内修復術と同一入院中に房室弁への再介入手術を要したのは6例で,内訳を見ていくと, cleft縫合の裂開による再形成が2例で術後7日目と41日目に施行された.心内修復後遺残逆流の増悪で術後9日目に弁置換を要したものが1例,再形成したものが3例(術後9,44,60日目)で,内1例は1年後に弁置換へ,1例はFontan治療へ舵を切った.遠隔期の再介入に関しては5年後と4年後に再形成を要したものが2例と3年後に弁置換を要したものが1例であった.これら再手術例は術前moderate以上の房室弁逆流であった2例がTCPC,術後早期のMVRとなり,それ以外は術前mild以下であった.心内修復術前にPalliative ASD closureを先行した6例では左側の腱索の乳頭筋付着異常を認めた1例を除き逆流controlは全例良好.ハート型パッチを導入した症例では再手術介入を要したものは現在までのところでは認めなかった.【結論】弁尖の解剖が形成の難易度を上げているものもあるが必ずしもそうでは症例もある.技術的向上をさらにしていく必要がある.