[I-P03-6-08] A case of aorto-left ventricular tunnel repair in newborn patient based on fetal diagnosis
Keywords:胎児診断, 大動脈-左室トンネル, Aorto-Left Ventricular Tunnel
[背景]大動脈-左室トンネルにおける心不全の発症や進行には幅があり、胎内死亡に至る症例もあり、進行性の症状がなくても左室が不可逆的な変化を生じる前に早期の修復術が必要と言われている。[症例]妊娠36週3日に胎児心拡大を指摘され、当院紹介。胎児エコーで、大動脈から左室へ向かう血流を認め、大動脈弁異形成/大動脈弁逆流、大動脈-左室トンネル、総動脈幹症/総動脈幹弁逆流などが疑われた。出生直後の手術が考慮されたため、在胎37週4日に予定帝王切開で出生。出生時体重2931g、Apgar score:8/8点。出生後の心エコーで大動脈-左室トンネルの診断となり、左心室拡大著明であり循環動態破綻が予想されたため、同日に緊急手術を施行。[手術]人工心肺を確立。外表から膨隆したトンネルを確認できたため、トンネルを圧迫しながら順行性冠灌流を行うことで心停止を得た。大動脈-左室トンネルは右冠尖の基部に存在し、浮腫状の脆弱な右冠尖がトンネル辺縁の一部を成していた。左室側の開口部をePTFEパッチを用いて閉鎖し、一部は右冠尖と縫着した。大動脈側の開口部は、脆弱な右冠尖への追加縫合をしない方針とし、今回は開口したままとした。人工心肺離脱は問題なく、閉胸も可能であった。人工心肺時間169分、心停止時間98分。[術後経過]術後13日目に抜管。術後19日目にPICU退室。心エコーにて、大動脈-左室トンネルの血流遺残なし。有意な大動脈弁逆流を認めず、大動脈弁狭窄や右室流出路狭窄なし。左室機能は良好であった。今後は体重増加を待ち、遺残腔の閉鎖を予定。[結語]胎児診断から出生後早期に大動脈-左室トンネルの診断に至り、修復術後の経過は良好であった。今回の症例では大動脈側の開口部は閉鎖できず、遺残腔の拡大による穿破や右室流出路狭窄の懸念があるため、今後の遺残腔の閉鎖が必要と考えている。文献的考察を加えて報告する。