[I-P03-6-09] Pulmonary Artery Banding in Patients with Trisomy 21 syndrome
Keywords:pulmonary artery, banding, trisomy 21
【背景】肺動脈絞扼術(PAB)は肺高血圧を伴う21トリソミー児(21T)には多く行われる姑息術で、人工心肺を使用しない短時間手術であるが、しばしば周術期合併症を経験する。【対象・方法】2014-2023年に当科でPABを行った21T 24例(T群), 染色体異常が確認されていない児19例(N群)の周術期・中期遠隔期合併症, ICR到達を比較検討した(21T以外の染色体異常/単心室/大血管転位症例は除外)。T群は心室中隔欠損11例(45.8%), 完全型房室中隔欠損12例(50.0%), 両大血管右室起始1例、N群は各9例(47.4%), 3例(15.8%), 7例(36.8%)。PABは基本的に胸骨正中切開でCV-0糸を用いたLasso法で施行。【結果】T群はPAB時体重中央値3.5kg(range 2.5-10.0, 以下同), 日齢96日(25-1164)、N群は3.3kg(1.3-5.9), 91日(27-216)。PAB周径はT群26.0mm(24.0-35.0), N群26.0mm(23.5-31.0)。T群にPAB再調節1例あったが全例生存退院。T群に周術期感染症11例(45.8%, p=0.0006), 心嚢液貯留2例(8.3%)、N群に心嚢液貯留1例(5.3%)を認めたが、両群とも致死的不整脈/心停止/術後乳び胸はなし。周術期感染は敗血症1例(4.2%), 縦隔炎5例(20.8%, p=0.034), 浅層感染2例(8.3%), 肺炎3例(12.5%)であり、N群にはなく、T群で有意に周術期感染(特に縦隔炎)が多かった。ICR待機中にT群1例が感染から脳症、1例が呼吸器感染増悪で蘇生/ECMOから低酸素脳症となり計2例がICR適応から外れた(1例遠隔死)。ICR待機中はT群5例,N群2例。N群 1例が他院転院。脳症症例以外全例がICRに到達。T群(17例)19.0カ月(9.9-60.9), 体重7.5kg(6.4-13.8)、N群(16例)19.1カ月(7.7-72.8), 8.3kg(6.6-17.0)でICR施行し、全例生存退院したが、T群1例にICR後に感染から脳症となった症例を認めた。【考察】21Tに対するPAB周術期死亡はなくICR到達も良好であった一方、周術期合併症(特に周術期感染)が有意に多く、合併症に対する早期治療と経過フォローが重要と考えられた。