[I-PAL-3] Harmony TPV留置後早期のSubclinical Leaflet Thrombosis: TPVI後の至適抗血栓療法とは?
キーワード:Subclinical Leaflet Thrombosis, TPVI, Harmony TPV
【背景】経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)においてsubclinical leaflet thrombosis (SLT)によるvalve dysfunctionの進行が報告されており, 抗凝固療法(OAC)は抗血小板療法(SAPT/DAPT)と比較しSLTを抑制する可能性が示唆されている. しかし, 経カテーテル的肺動脈留置術(TPVI)後のSLT抑制に関する至適抗血栓療法のエビデンスは確立されていない. 【目的】Harmony TPVを用いたTPVI後早期のSLTの発生とその要因, 抗血栓療法との関係について明らかにすること. 【方法】2023年3月から10月までの期間中に, 当院にてHarmony TPVによるTPVIを受けた連続7症例を対象に, TPVI後の臨床経過および心臓CTを用いてSLTの有無を後方視的に検討した. 【結果】TOF術後, severe PRの7症例全例にHarmony TPV25を留置した. 症例1-4は抗血栓療法としてDAPT (aspirin + clopidogrel) が選択された. 症例5-7では, 心房性不整脈の既往があり既にedoxabanによるOACが行われていたためclopidogrelのみが追加された. TPVI約1週間後の心臓CTにおいてDAPT症例1-4の全例にSLTが認められたが, OAC症例5-7にSLTは認めなった. さらにSLT症例はvalveの最小面積(MTA)が, SLTを認めなかった症例と比較して小さい傾向にあり拡張不良が示唆された(262.5±41.4 vs 331.0±42.6 mm2). 3-6ヶ月のfollow-up期間において, SLTの有無にかかわらず, 全症例でPRの改善を認め, RVOTの平均圧較差の上昇は認めなかった. 追跡期間中に血栓性イベントの発生はなかった. 【考察・結論】TAVIにおいては, デバイスの拡張不良がSLTのリスク因子であり, OACはSAPT/DAPTと比較しSLTを減少させることが報告されている. しかし, SLTの存在と臨床イベントの関連は示されていない. 今回の結果より, TPVIにおいてもデバイスの拡張不良および抗血栓療法の選択がSLT発生の決定因子である可能性が示唆された. TPVI後のSLTについてはその臨床的意義について今後十分な検討が必要である.